あまつみそらに！

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神様の住む島で始まる5つの恋

主人公の住む美空島は、豊かな自然に囲まれた美しい島。早くに両親を亡くした主人公は、妹の観崎美唯と島神である一ツ橋神奈と暮らしていた。そんな主人公の暮らしは、しっかり者の幼なじみ・帳千紗や騒々しい後輩の清澄芹夏たちに囲まれて、賑やかで楽しいものだった。しかし、そんな日常は島に新しい巫女さんがやってきたことをきっかけに、徐々に変わっていくのだった……。

©Clochette

『かみぱに！』に続く、田舎が舞台の神様同居モノ。けど、共通点はこれくらいで、物語の雰囲気は全く違ったものになっている。まず、本作の神様・神奈は神として祭られることを拒否した神様であるということ。非常事態以外は神の力を使うこともないし、尊大に振る舞うこともない。それどころか、学園では赤点スレスレ、家に帰ればネトゲ廃人寸前というダメ人間（ダメ神様か？）だったりする。そして、そんな神奈が神様であるということは、島では常識という設定も面白い。学園の友人たちや島の住人は神奈が神様であるということを知っていて、その上で普通の友人として接しているわけだ。基本的には普通の現代日本でありながら、神様や妖怪が当たり前に存在している世界観というのは、ゆったりとした田舎町という舞台と併せて、良い雰囲気を醸し出しているといって良いんじゃないかな。

物語はといえば、神様と妖怪を軸として進んでいく、伝奇モノに近いノリだ。ただし、ストーリーはあくまでキャラを魅せるための装置でしかないという印象。このゲームのポイントはあくまでキャラ萌えであって、ストーリーはキャラを際立たせるための添え物という感じなんだよね。添え物というと言葉が悪いかもしれないけど、本作に関してはそれが良い方向に転んだという感じがする。メインヒロインである神奈はもちろんのこと、純情そうでいながらエロい妹の美唯やクールそうで実はめちゃくちゃ恥ずかしがり屋な幼なじみの千紗、Ｈに対してあけすけな巫女さんの葉月深景、いつでも暴走気味な芹夏と、どのキャラもしっかりとキャラが立っている。主人公も前向きで好感の持てるキャラだし、そんなキャラたちがバカップルと化していくのは、見ていてかなり楽しかったかな。個人的には主人公への想いを自覚した千紗がグダグダになっていくあたりは、かなりツボにはまったね。

©Clochette

ただ、やっぱりストーリーが弱いのは、ちょっと残念。物語のテーマやプロットは悪くないんだけど、その描き方が弱かったんだね。例えば妹の美唯のストーリーであれば近親相姦というのが1つの障害になるわけだけど、それは軽くスルーしてしまう。そういった部分をもっと掘り下げれば、さらに物語を盛り上げることができたと思うんだけどなぁ。美唯以外のキャラでも大事件が起きたはずなのにあっさり解決してしまい、物語後半の盛り上がりが今ひとつだったりする。シリアスすぎるのはこの作品の雰囲気に合わないということで、あえてそうしたのかもしれないけど、本作は基本的に明るく前向きなキャラクターばかりなので、深刻になりすぎずに物語を盛り上げることも不可能ではなかったと思うんだけどね。

深い物語性を求める人にとっては物足りないだろうけど、気軽にキャラ萌えを楽しむには最適といって良い作品。何気ない日常も手を抜くことなくしっかりと描かれていて、丁寧に作られた良作という印象だ。ゲームのボリュームはCGが差分抜きで80枚＋アイキャッチ6枚、イベントは24なので、純愛ゲームとしては標準的と言って良いかと。というわけで、オススメ度は☆4つ。公式サイトのキャラ紹介を見て惹かれるものがあるなら、プレイして損ナシ。

   使い方

攻略

目的のキャラを優先する選択肢を選んでいけばOK。ただし、選択肢の数が少ない分、選択ミスは致命傷になるので、選び間違えないように。

（by Suno）