Trample on "Schatten!!" 〜かげふみのうた〜
TAIL WIND | Windows2000/XP/Vista | 800x600 |
9240円(税込) | 1Play10時間 | 属性:熱血、変身ヒーロー、半脱ぎ、ツンデレ |
難易度:1 | 2009/5/29発売 | オススメ:☆☆☆ |
影の怪物を踏み抜くヒーローの慟哭を聞け!!
明確にヒーローものを目指している本作。ヒーローものを茶化すパロディではなく、ど直球に熱く、切なく、格好いいヒーローを描こうとしているタイトルだ。
人の心の暗部、認めたくないネガティブな自分、それらが実体化してその人自身を取り込んでしまった影の化け物が『シャッテン』だ。人を襲う人類の敵だが、“任意に実体化した影”なので、普通の物理攻撃はみんなすり抜ける。そのくせ自分が攻撃する時だけ腕を実体化して殴るというズルい奴らだ。奴らを倒せるのが、影の力で変身して同様の存在になった変身ヒーロー『ゼルクレイダー』なのだ。
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物語はゼルクレイダーであるヒロイン・キザイアと、彼女に戦いに巻き込まれた主人公・愛作の絆を軸に、シャッテンとの戦い、現れる強敵、悲しい別れ、絶望的な状況、そして逆転!! ……と熱血ヒーローものの王道らしい熱さで展開してゆく。主人公の愛作がへこたれた時に現れ、厳しい叱咤と共にビシッ!! と言葉を残してゆく謎の存在・シュレミールは、往年の名作・アリスソフトの『ONLY YOU』に登場したタイガージョー、と言うかさらに元ネタを辿れば『Gガ○ダム』のシュバルツのようなイカすキャラ。こういうノリ、個人的には大好きだ。でも、こういった熱い要素が満載なのに……プレイしていてイマイチのめり込めない。
Schatten(シャッテン)とはドイツ語で『影』の意味。なんでドイツ語なのか一応説明はあるが、シナリオライター的にはたぶんドイツ語ってなんか格好いいよね、ということだろう。重要な要素であるタイトルからしてそんな感じだから、もう作中の鍵となる単語のあちこちが聞き慣れない上に発音しにくい言葉ばかりで、嫌がらせかってくらい覚えにくい。ゼルプストスフィアとかエナンティオドロミアとか……途中でそれらの設定の解説があって読みますか? と聞かれるけど、シナリオライターが頑張って集めた膨大なウンチクと頑張って考えたマニアックな設定を延々と聞かされても楽しくない。
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さらに主人公の愛作の趣味がダーツということで、必殺技の名前がいちいちダーツ用語。これまたダーツやってない人にはピンとこない必殺技名乗りで、おまけに発声時のリズムも良くない。さぁ敵にトドメを!! ってタイミングで『ブルズアイ・ダート! ……ゲームショット!』って。2回も叫んだらフィニッシュのタイミングがわからないよ。
どうも格好いい単語をたくさん使ったらそのぶん格好良くなるだろうという中二病的なノリが没入感を殺しているように思う。上記のような必殺技フィニッシュ場面を見て、かのヒーローの必殺技『ライダーキック』って素晴らしいんだなと改めて思った。単語がわかりやすい上に『ライダー』でタメて『キック!!』で放出、のリズムに視聴者がすっと入り込めるのだから。
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ヒーローものの話はこれくらいにしてHシーンについていえば、絵はとても綺麗なんだけど、あまり力が入ってるとは言えない。せっかく変身ヒロインがたくさんいるんだから敗北で凌辱とか沢山あっても良さそうなもんだが、そういうのは2つしかない。アナザーストーリーとして凌辱系Hシーンもあるが、完全に本編と切り離された“IF”の話なのでこれまたノれない。ヒロインとの相思相愛系のHシーンはそれなりにあるけど、これも唐突な感じは否めない。
システムは特殊で、物語を進めるごとに時間軸とイベントが並んだタイムチャートがオートセーブで埋まってゆき、それらは自由に移動できる。なのでセーブする必要はないし、回想モードもない(タイムチャートからHシーンにいつでも飛べるため)。タイムチャート上に存在するHシーンは全部で25。多くのシーンにおいて半脱ぎか全脱ぎかを選択できる。前述のようにCGは綺麗で充分エロいが、Hが作品の主題という扱いではないので、エロを期待している人には物足りないと感じるだろう。
総論としては、凛々しく格好いいヒロイン・キザイアが気になる人ならキャラ買いもアリ。シリアスで熱いヒーローものとしての内容に期待している人にとっても良作かと。ただ、製作者の自己満足としか思えない山盛りの設定&わかりにくい用語と、リズムが悪い戦闘シーンが勿体ない。次回また同じような作品を作ることがあれば、もっとプレイヤーに伝える手法をわかりやすく、そしてもう少し贅肉を落としてほしい。
攻略
基本的にチャートに現れるイベントをすべて選んで行けばコンプリートできる。サブヒロインのルートに分岐する箇所は表の4カ所。そのうち3つは、それぞれ5月26日と27日のイベントを見ていることが選択肢の発生条件。5月26日と27日のイベントは由貴やふうりたちと和解してから出現するので、戻って選択することになる。メインルート継続を選んでいけばキザイアをヒロインとしたシナリオになる。
発生する日時 | ルート分岐選択肢 | 選択結果 | 発生条件イベント |
---|---|---|---|
6月14日 22:40 | 俺は思わずくしゃみをした | 由貴ルートへ | 5月26日 |
俺は思わずあくびをした | メインルート継続 | 由貴イベント | |
6月16日 15:00 | 一緒に探す | ふうりルートへ | 5月26日 |
店番がある | メインルート継続 | ふうりイベント | |
6月18日 18:00 | 食事をしていく。 | 美衣奈ルートへ | 5月27日 |
今日は帰る。 | メインルート継続 | 美衣奈イベント | |
6月19日 3:00 | 芹果を支える | 芹果ルートへ | 条件なし |
想いが揺らぐ | メインルート継続 |
(by 葉柳)