深霧の中で…

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楽しいはずの合宿が血の海に!?

主人公が部長をしている弓道部は、合宿で生まれ故郷である信州に来ていた。かつて主人公が通っていた小学校の校舎を、村長である伯父がスポーツ合宿施設へと改装し、オープン前にお試しで利用できることになったためだ。合宿中に恋人の荻乃と親密になりたいと思っていた主人公だったが、それどころではなくなってしまう……。

Copyright © 2009 caricature. All rights reserved.

低価格帯の悲恋をテーマにした作品だ。主人公の相方となる悪友の尊は、恋人の綾華と同じ学年になりたいがために留年したとうそぶくほどのおバカ。2人のバカップルぶりにアテられるのが主人公と萩乃と咲耶だ。その5人が猟奇殺人事件に巻き込まれていくというストーリーとなっている。尊と綾華は確実に死ぬので、登場キャラを殺す演出が好みに合わない人には向かない作品かなと思う。非常に困ったことに、根本的な部分にネタバレがあるので申し訳ないんだけどストーリーには触れることができない。男2人に女3人というのが不自然だと感じたら、そういうオチかと予想してそれが当る人もいるんじゃないかな。

ストーリーは別にしても、はっきりいってしまうと本作は根本的にエロゲーとしてはよろしくない作りになっている部分がある。エロの途中で演出カットができない過去回想的なメッセージが表示されるシーンがあってイライラさせられるんだもん。エロの邪魔をする演出はエロゲーにあってはならないものじゃないのかなぁ。Ｈシーン以外で飛ばせないメッセージが頻繁に挿入されるというのもあって、申し訳ないが個人的にはストーリー展開のテンポも悪いように感じた。

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システム面は一通りの機能があるんだけれど、マウスのホイールボタンでバックログに入れないのがつらい。右クリックに何も機能が割り振られていないところは、右クリックで元へ戻ることが動作的に期待されるわけだが、本作は無反応で戻るボタンをクリックしないといけないなど、残念ながら使い勝手はよろしくない。メッセージの色は白固定なのに、メッセージのバックが明るめの配色で読みにくいのもプレイする上でつらい。CGの上に重ねて表示される回想的なメッセージに至っては、プロユースの色再現性が高いNECのディスプレイMultiSync LCD 2490WUXiですら「それ読めないよ」ってぐらいの読みにくさとなるシーンもある。TNパネルのディスプレイでもチェックしてみたが、そちらは読むのが困難すぎる感じだった。もうちょっとそのあたりはどうにかならなかったのかなぁ……と思ってしまう。ほかにも、本作は『深霧の中で…』が正式タイトルなのに、スタートメニューは『深い霧の中で』となっていて、ゲームのタイトルバーは『深霧の中…』とバラバラで統一されていないのも気になった。おまけのほうは、CGモード枠は差分を別枠登録するのでかなり多く感じるが実質33枚程度で、シーンのほうは12種類。エロに限って数えてみるとちょっと物足りないボリュームじゃないのかなという内容ですね。

非常に残念ながら今年プレイした作品の中ではワーストという印象だった。悲恋もののストーリーにもそれなりの需要はあるだろうことは理解できるが、システム面の問題が最大のネックという感じですね。システムの改善が行なわれて、ストーリーが人を選びすぎるようなものじゃなくなれば化けそうな予感もするので、今後の作品に期待といったところかな。CGもテキストも悪くはないだけに方向さえ合えば化ける可能性があると思うんだ、うん。

   使い方

攻略

併記している部分はセーブしておいて左側の選択肢でシーンを見たあと、ロードして右側で通過してほしい。BADENDは2つあるが別のものなので両方見ないとコンプリートはできないことにご注意を。

（by 伊織舞也）