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過疎の村と村を守護する神を救え

©アトリエかぐや

吾妻不動産社長の主人公は、過疎の村、巳各務村の再開発事業を巡って、大手不動産会社と対立していた。そこで主人公は、村人たちの望みを知るために、巳各務村へと向かう。そこで彼は元気な巫女の天戸沙織、体の弱い白妙亜弥、そして力を失い消滅しかかっている神である各務月巳と出会う。主人公は沙織や亜弥が愛する村を守り、月巳を救うことができるのだろうか？

アトリエかぐやというと、エロエロヌキゲーメーカーというイメージがあったんだけど、最近のアトリエかぐやはストーリー重視にシフトしてきた感じがする。この作品もそんな流れの中の1作。生まれ故郷の村を再開発から守ろうとする沙織と亜弥、村を守ってきた神でありながら、人々の信仰心が薄れたために消滅しかかっている月巳という、3人のヒロインとのラブストーリーだね。キャラクターは3人ともいい感じだ。明るく元気で真っ直ぐな沙織。儚げで、それでも懸命に生きている亜弥。ちょっと世間知らずで、エロい月巳。いずれも嫌味のない、ヒロインとしてふさわしいキャラクターとなっているんじゃないかな。なんといってもよかったのが、個別ルートに入ったあとに、主人公とヒロインのバカップルぶりが炸裂していること。ヒロインは容赦なく甘えてくるし、主人公もなんだかんだといいつつ、それを受け入れているのが良い。そして、ヒロインたちが主人公を取り合ってドタバタするところも楽しい。ヒロインが主人公を奪い合っているといっても、ギスギスしたところがまったくないので、純粋にラブコメとして楽しめるんだよね。

ただ、ストーリー重視というには、ちょっと物語の掘り下げ方が足りなかったかなぁ、という気もする。3人のヒロインが、主人公に初めてあった瞬間から好感度MAXで、なぜヒロインが主人公を好きになったのかという部分がすっぽり抜け落ちているんだよね。また、主人公は巳各務村へやって来て、この村を自分の第2の故郷と思い定め、村を守ろうとするんだけど、プレイヤーから見ると主人公はひたすらヒロインといちゃついていただけで、なぜ村を好きになったのかという動機付けが弱い気がする。ストーリーそのものは決して破綻しているわけじゃないし、悪くはないんだけど、ストーリーに説得力を持たせる部分が弱かったかなという印象だ。主人公とヒロインが惹かれあっていく過程や、ヒロイン以外の村人との交流なんかが描かれていれば、もっとストーリーに深みが出たんじゃないかな。

©アトリエかぐや

ストーリー重視にシフトしているとは言え、アトリエかぐやということでＨシーンにも期待したいところ。そのＨシーンはどうだったというと、純愛モノとしては悪くないといったところか。イベント数は沙織7、亜弥7、月巳10あり、それぞれのイベントの尺も十分。2回戦、3回戦もある。さらに、ゲームクリア後にプレイ可能になるおまけシナリオが5あるため、ボリューム自体は文句ナシ。純愛モノとしては、かなり頑張っている方なんじゃないかと思う。だけど、プレイし終わってみると、なんとも物足りない感じがしてしまう。まず第1に、Ｈシーンのバリエーションが少ないこと。ほとんどのＨシーンで愛撫→フェラ→本番という流れで、キャラによっての差がほとんどない。このせいで実際はボリュームがあるのに、Ｈシーンが薄く感じられてしまう。第2に物語のシチュエーション的にはハーレム状態なのに、ハーレムルートがないこと。ハーレムルートがあるに違いないと信じてプレイしていたのに、キャラ別エンドを見た段階でCGもイベントも100％。そりゃないよ……というのが正直な感想だ。さらに亜弥の妹のまひるのイベントがないのも納得いかないところ。姉妹丼イベントがあってもおかしくないと思うんだけどなぁ。

シナリオを見せたいのか、エロを見せたいのか、やや中途半端になってしまった作品というのが、プレイを終わっての感想かな。決定的にダメな部分というのはないんだけど、小さな不満が積もり積もって、最後には物足りなさを感じてしまう、と。CGはキレイだし、キャラも悪くないだけにもったいなかった。というわけで、キャラデザが気に入ったなら、プレイしてみても良いかなというところだろうか。

   使い方

攻略

最初の5つめまでの選択肢でルートが決まる。選択肢はどれがどのキャラに関係するものなのか、とてもわかりやすくなっているので、迷うことはないだろう。Ｈシーンでの中出し、外出しはエンディングには関係しないけど、CGは分岐しているのでセーブ＆ロードで回収しよう。各キャラのエンディングを見ると、タイトル画面の「秘密の小箱」からおまけシナリオを見ることができるようになる。5つのおまけシナリオを見れば、コンプリートだ。

（by Suno）