夏色さじたりうす 〜浜井原学園弓道部〜

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弓道部を舞台としたラブコメディ

仲間たちと日々楽しく学園生活を送っていた主人公は、弓道部の部長で幼馴染みの藍香ねーちゃんと、同じく弓道部に所属する幼馴染みで嫁を自称する愛理から強引に勧誘されて弓道部に入ることになってしまった。勧誘というより脅迫といえるのだが……。5人いないと廃部になってしまう危機に、なりふり構わぬ手段で部員を勧誘する藍香は、主人公のほかにも賄賂的に物で釣って紗夜を引き込むなどして部員を増やしていた。主人公に惚れているツンデレお嬢様の玲奈も入部して、賑やかな新生弓道部の活動が始まろうとしていた。

© ブルームハンドル

本作の主人公の家は普通じゃなく、複雑な事情がある。母と愛理の母がレズで同居生活をしているため、自称嫁のクラスメイト愛理ともひとつ屋根の下に住んでいる。愛理の母汐理は毎朝のように寝ている主人公に悪戯しようとするし、主人公は学園だけでなく家でもなかなか大変な生活を送っている感じだね。

ヒロインとなるのは猫好きでネコミミカチューシャを普段から装備している自称嫁の愛理、外資系企業の令嬢ゆえかプライドが高くて素直になれないハーフのお嬢様玲奈、いつもテンションが高くて主人公をからかうことが生きがい（？）の幼馴染みお姉さん藍香、小柄な巫女で毒舌を吐く先輩の紗夜の4人だ。個性的なヒロインたちと、クセのある脇役たちのコミカルなストーリーを楽しめる作品だ。コメディ部分を楽しみたい人向けといえるんじゃないかな。『こなゆき ふるり 〜柚子原町カーリング部〜』とは異なり、熱血ストーリーというわけではないことに注意してほしい。普通の学園ラブコメであって、熱血って感じではないからね。熱血モノを期待していると確実に裏切られるのでご注意を……。

愛理のシナリオは、恋人となってからはところ構わずという感じでえっち三昧なものになっていく。両親（？）公認で毎日一緒に寝ているし、それはもうサルのようにＨしまくりとなるわけだ。ちょっとしたハプニングも発生するがバカップルな日々が描かれる。

© ブルームハンドル

ツンデレな玲奈のシナリオは彼女の性格ゆえに話の展開がもどかしい。意外に恥ずかしがり屋な玲奈は告り逃げしちゃうしね。デレ始めると照れまくる玲奈がそれまでの態度とのギャップで萌え萌えな感じだ。とはいっても、デレになかなか入らず、恋人同士になってもツンツンしているんだけど、そこがまたイイんだよね。デレた時のギャップが魅力となるから。それゆえにデレたときはかなり破壊力あるかも。

幼馴染みの藍香ねーちゃんは、主人公の嫁を自称している愛理のことを気にしていて素直に好きといえずに、主人公と相思相愛なのに先に進めないでいる。藍香を姉のように慕っている愛理の友情がテーマとなっているわけだね。藍香と愛理の友情と、アクティブな藍香の誘惑を楽しめるんじゃないかな。

© ブルームハンドル

年上なのにお子ちゃま体型な毒舌家の紗夜は男を性犯罪者扱いしてくるため、なかなか取っ付き難いところにあえて突き進む主人公の行動がドキドキもののストーリー展開をみせてくれる。徐々に毒舌が減ってくるけど、紗夜の天の邪鬼な性格は最後まで変わらない。しかも紗夜は告白されただけで気絶してしまうし、夜這いもしてくるから、何が待ち受けているのか最後まで気が抜けないままストーリーを読み進めることになるだろう。誇大妄想を真実であるかのように語って主人公が悲惨な状況に追い込まれたりするが、愛があればそれもよし!?

システムまわりは繰り返しプレイをする際に不便を感じるようなことはないと思うが、クイックセーブはセーブスロット1に書き込まれる点だけは注意してほしいかな。重要なデータはそれ以外のスロットへ保存するようにしよう。個人的にはバックログは画面全体に表示してほしい気もするかな。メッセージ枠内へのバックログ表示は参照したいシーンによってはエリアが狭くて参照しづらいから。おまけのほうは、CGモード枠が愛理15、玲奈16、藍香19、紗夜17、その他13の計80。回想は愛理7、玲奈6、藍香9、紗夜6、その他2の計30種類となっていた。これだけを見るともうちょっとほしいかなと感じるところだが、実際にプレイした印象ではテキスト量が多いからかもっとボリュームがあるような印象だった。

トータルで見てみると、絵が安定していないので好みが分かれそうな感じがするのと、テキストが面白いところとだらだらとした部分があるのが気になる人もいるかもしれない。自分的にはお薦め☆☆☆だけど、テンポ良く進むコメディ作品を求めているならば0.5〜1ほど差し引いて考えたほうがよいかもしれません。

   使い方

攻略

本作には各ヒロインのエンディングとハズレとバッドのエンディングが用意されている。ヒロインのエンディングにはHAPPYENDと途中ENDの2種類がある。好感度を最大まで上げないとHAPPYENDは見ることができない。HAPPYENDを見るためには、誰を心配するかという選択肢で事実上ヒロインを確定させることになるため、そこでのセーブは必須となる。途中ENDは恋人っぽくなってきた段階で打ち切り的に終わるため、CGもテキストも固有のものはないので見る必要はないが、どうしても見たい場合はどこか1カ所好感度が上がらない選択肢を選べばOKだ。紗夜のチャートだけやや長めだが、チャートのベースとなった初回プレイ時に紗夜の好感度を上げていなかったのが原因でしたね、とほほ。どのヒロインも好感度を一定以上に上げなかった場合はハズレエンディングとなるようだ。ハズレは見なくても大丈夫だが、BADENDはCGがあるので見なければならない。

（by 伊織舞也）