大帝国
ALICESOFT | WindowsXP/Vista/7 | 800x600 |
ダウンロード版:6800円(税込) パッケージ版:8925円(税込) | 1Play20時間 | 属性:地域制圧SLG |
難易度:10 | 2011/4/28発売 | オススメ:☆☆☆☆ |
艦隊を率いて大宇宙を統一せよ
統一宇宙暦939年。エイリス、ガメリカ、ソビエトの3大国はそれぞれの理由で戦争を望んでいた。そんな中、長引く中帝国との戦争で疲弊した日本帝国は、新たな海軍長官・東郷毅を迎え、この戦いに臨もうとしていた。日本は大国との戦争に勝ち抜き、生き残ることができるのか?
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『大悪司』、『大番長』に続く大シリーズの3作目。アリスの看板シリーズの1つだし、これはやっぱりプレイせずにはいられないでしょうということで、プレイしてみた。まず、ゲームのボリュームは過去の作品と比べて全くひけは取らない。今作はダウンロード版が用意され、これがミドルプライスレベルの価格であることを考えれば、コストパフォーマンスはかなりアップしたと言って良いんじゃないかな。実際、この価格帯でここまで遊べるゲームって過去に例がないんじゃないだろうか。価格の面以外でも品切れで手に入らないということが無くなったわけで、ダウンロード版が用意されたことは嬉しい点だね。
ゲームの内容はというと、過去のシリーズ同様、地域制圧型SLG。ただし、今回は詰め将棋とかパズルゲーム的な雰囲気が強くなっていると感じる。というのも、今作はほんのわずかでもダメージを受けるとその後の行動に支障を来してしまうため、ノーダメージで勝利することが前提となる。それを実現するために自分の手駒をどう組み合わせるかを考えることがメインになっているんだよね。敵によっては「こんなの無理、勝てるわけないよ」と思ってしまうこともあるんだけど、よくよく考えれば必ず勝てる組み合わせが用意されている。そういうバランス取りの上手さはさすがアリスソフトだなぁと思うし、パズル的なものが好きな人はかなりハマれるんじゃないかと思う。
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けれど、ゲーム全体を通して見ると、やや盛り上がりに欠けるという印象も。何で盛り上がらないんだろうと考えると、まず世界征服を目指す理由が明確じゃないというのがあるんじゃないだろうか。『大悪司』であれば主人公はヤクザだったわけで、シマを増やすのはヤクザの本能ということで納得できた。『戦国ランス』などであればランスは暴れん坊だからの一言で説明が付いてしまう。ところが、今作では主人公の東郷毅も帝も、世界征服を目指すようなキャラじゃないんだよね。さらに、この作品にはヒロイン固有のシナリオが存在せず、明確なヒロインが設定されていないこともマイナスだった気がする。○○のために戦う! という積極的な動機付けが無くなったために、ゲーム全体の盛り上がりがスポイルされてしまったんじゃないかと。
システム的にも問題アリだ。この作品は自由度が高そうに見えて、実はあまり自由度がない。ゲームが詰め将棋的ということは既に書いたけど、これはパズル的な面白さがある反面、プレイヤーの取れる手段が限定されてしまうということでもある。なので、初回プレイは良いんだけど、2週目以降は作業的になってしまうんだよね。また、キャラに与えられたスキルが少ないことも問題。特徴あるスキルというのはキャラを差別化する重要なポイントになるわけだけど、本作は主要キャラであってもスキルなし、あるいは他のキャラと同じスキルということが多い。これではキャラへの愛着が持ちにくくなってしまう。少なくとも、主要キャラに関してはもっと尖ったスキルを持たせた方が良かったんじゃないかなぁ。
不満点ばかりを書いてしまったけど、ゲームとしての完成度はかなり高いというのも事実。不満点の多くは期待の大きさの裏返しだったりする。言うなれば、100点満点で150点を期待していたのにプレイしてたら90点でしたよ、と。でも、よく考えてみたら90点ってかなりの高得点なんじゃ? という感じかな。もっとも、もう少しだけ工夫すれば文句ナシの名作になれたんじゃないかとも思うだけに、残念ではあるんだけどね……。というわけで、オススメ度は☆4つ。緻密なパズル的なゲームが好きな人にオススメしたい1本。
(by Suno)