絶対★魔王〜ボクの胸キュン学園サーガ〜

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異世界の学園で魔王を目指せ！

©SCORE

ある日突然、頭に角が生え、両親が元魔王と勇者だと聞かされた主人公は、魔界、天界、獣人界の王を育成する異世界の学園に転校させられてしまう。しかも、魔王になれなければ、角が伸び、バケモノになってしまうらしい。魔王候補生としての新しい学園生活が幕を開ける！

まずゲームシステム的には、姉妹ブランドの作品である『恋姫†無双』に近いものとなっている。背景なんかも一部流用しているみたいだしね。ただ、『恋姫†無双』がAVG＋戦術SLGだったのに対して、この作品はAVG＋RPG。残念ながら、RPGパートは失敗だったんじゃないだろうか。この作品のRPGパートは経験値もレベルアップも、アイテムの概念も存在しない簡易的なものとなっている。RPGの楽しみって経験値を稼いでキャラを成長させたり、アイテムを集めたりするところにあると思うんだけど、この作品のRPGパートはそう言った楽しさがまったくないわけだ。まあ、あくまでこのゲームのメインはヒロインとの掛け合いを楽しむAVGパートであると考えれば、RPGパートが簡易的なものとなっているのは納得できるかもしれない。だけど、そう考えるとRPGパートが長すぎて、ゲームのテンポを悪くしていると言わざるを得ない。意地の悪い言い方をすれば、ゲームのプレイ時間を引き延ばすために存在しているとしか思えないんだよね。これだったらRPGパートはない方が良かったんじゃないかと思う。あくまでRPGに拘るのであれば、RPGとして楽しめる内容にして欲しかった。

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では、AVGパートはどうだったかと言えば、正直なところ、主人公の性格が受け付けなかった。このゲームの主人公は、土下座が特技というヘタレ主人公。どれくらいヘタレかと言うと、ダンジョンで始めてモンスターに遭遇した時、一緒にいたヒロインを置いてきぼりにして1人で逃げ出してしまうほどのヘタレ。あるいは、幼なじみが殺されそうになっている時、助けようともせずにただお祈りをしているだけと言うくらいのヘタレだったりする。ヘタレならヘタレで別に構わないんだけど、プレイヤーの分身である主人公は、いざというときはしっかりと決めて欲しいと言うのが本音。モンスターに勝てないのは仕方がないけど、勝てないなら勝てないなりに、ヒロインのために体を張って欲しかった。その点、このゲームの主人公は、完全に主人公失格だなぁ……。

それから、ヒロインの人数も多すぎた気が。このゲームのヒロインは隠しキャラのクーデルカを含めて16人。主人公がモテモテのハーレムゲームであれば良かったのかもしれないけど、ヒロイン1人1人に個別シナリオのある純愛ゲームとしては、これは多すぎる気がする。キャラが多くなったおかげで、個別シナリオがかなり薄くなってしまっているんだよね。「魔王」が関係しないシナリオも多いし。シナリオを重視した純愛ゲームとするのであれば、ヒロインはメイドのリュアナ、幼なじみの優希、王候補のセンシア、エスト、エヴァンの5人に絞った方が良かったんじゃないかな。そうすれば、1人1人のシナリオをもっとしっかりと描くことができただろうし。

魅力的なヒロイン、レベルの高い原画家、安定感のある声優陣と、名作とは言わないまでも良作となるだけの素材は揃っていた本作。シナリオだって基本的なストーリー展開はそれほど悪くない。もう少し企画を練り直せば、かなり面白いものができそうなだけにもったいなかった。原画家や声優が充実していたので、その点をオマケしてオススメ度は☆3つ。本当にもったいない作品だなぁ……。

（by Suno）