殻ノ少女
Innocent Grey | Windows2000/XP/Vista | 800x600 |
パッケージ版:8800円(税別) ダウンロード版:4800円(税込) | 1Play10時間 | 属性:サスペンス、猟奇殺人事件 |
難易度:8 | パッケージ版:2008/7/4発売 ダウンロード版:2008/12/6発売 | オススメ:☆☆☆☆ |
繰り返される猟奇殺人事件の真相は?
昭和31年。私立探偵の時坂玲人は、不思議な少女から依頼を受ける。それは「捜して欲しいんだ。私を。本当の、ね」というものだった。時を同じくして、猟奇連続殺人事件が発生。行方不明となった女学生の捜索のため、玲人は妹の紫の通う学園に、教師として潜入することとなった。繰り返される惨劇の中で、玲人はなにを見つけることになるのか?
©Innocent Grey
この作品は2005年に発売された『カルタグラ〜ツキ狂イノ病〜』の続編ともいえるもの。それなりに格好良かったはずの前作の主人公、高城秋五がすっかり奥さんの尻に敷かれていたりするところは、ちょっと笑える。まぁ、前作を知らなければ知らないで、特に問題はないようになってはいるけどね。ただし、前作のヒロインが今作の主人公とHをするのは寝取られみたいで嫌だという人は、ちょっとツライかもしれない。そのあたりは要注意だ。
今作と前作の『カルタグラ〜ツキ狂イノ病〜』の最大の変更点が画面クリックで証拠を集める「探索パート」、マップを使って移動先を決める「捜査パート」、集めた証拠を使って事件を推理する「推理パート」の導入だろう。システムそのものは、古き良き時代のAVGといった雰囲気で悪くはない。だけど、これらのシステムが有効に活かされているかというとちょっと疑問だ。推理要素はあっても、物語自体はほぼ1本道で、主人公の活躍によって事件を防いだり解決したりといった部分はほとんどない。結局、助からないキャラはなにをどうあがいても助からないわけで、主人公と親しくなったキャラが次々に死んでいくのは、精神的にキツイものがあるね。また、画面クリックの「探索パート」はクリックするポイントが非常にシビアで、ドット単位でのクリックが必要になる。ここまでシビアにする必要があったのか、疑問に感じる。
また、物語がシリアスというにはあまりに救いのないものとなっているのも、前作と違う点だろう。『カルタグラ〜ツキ狂イノ病〜』ではヒロインの上月和菜の明るい性格もあって、陰鬱な中にも救いのあるエンディングになっていた。ところがこの『殻の少女』は、どこまでもまったく救いのないストーリーになっている。「その病(パラノイア)は再生する」という謳い文句通りに、狂気に取り憑かれた者たちのストーリーになっていて、物語の不快指数は極めて高い。トゥルーエンドに到達しても誰も救われないエンディングであるに加え、事件の真相がハッキリ語られることがないため、複雑に入り組んだ事件を解き明かすカタルシスも皆無と言える。
©Innocent Grey
こう書くとまったく良いところのないゲームのように見えてしまうかもしれないけど、この作品は非常にプレイヤーを選ぶゲームなんだと思う。グロテスクなCGが多いことも好みが分れそうだし、救いのないストーリーであることも主人公たちはスーパーマンではないということを前提にするかどうかで評価が分れるだろう。真相がハッキリと語られないということは、プレイヤーが色々と想像する余地が残されているということでもある。ハマれる人はとことんハマれるし、合わない人はとことん合わない。このゲームはそんな作品なんじゃないかな。
オススメ度は☆4つとしたけど、これはグロ耐性があり、一切希望のない物語がOK、さらに物語の語られなかった部分を想像するのが好きという前提でのオススメ度だと思って欲しい。逆にそうした属性のない人にとっては☆2つくらいになるかもしれない。主要登場人物だけで30人以上という複雑な人間関係を扱っているのに、物語が破綻していないところは、しっかりと作り込まれた物語だという感じがするし、音楽やCGのクオリティは非常に高いので、陰鬱なストーリーが好きという人は是非ともプレイしてもらいたい作品だ。
(by Suno)