さかしき人にみるこころ
light | Windows2000/XP/Vista | 800x600 |
ダウンロード版:2940円(税込) パッケージ版:3150円(税込) | 1Play5〜6時間 | 属性:青春、学園、クーデレ、ツンデレ、眼鏡、ニーソックス |
難易度:8 | 2008/5/30発売 | オススメ:☆☆☆(平均3.5) 天城螢:☆☆☆ 葉柳:☆☆☆☆ |
▽▽▽ クリックで切り替え ▽▽▽
嫌われている相手を口説くことはできるのか!?
図書室に本を返しに行った主人公の勾坂一重は、同じ学年の女生徒に本を取ってほしいと頼まれた。誰からも好かれる主人公は手伝おうとしたのだが、振り向いた彼女は彼の姿を見て固まってしまった。面識のない彼女に、いきなり「わたし、あなたが嫌いなの」と言われて戸惑う主人公は、最悪の出会いだと思いながらも、なぜか彼女のことが気になってしまう。そして図書委員の手伝いをすることで亜利美に近付こうとするのだが……。
Copyright © light All Rights Reserved.
本作のヒロインは真柄亜利美ただひとり。無愛想な上にきつい性格で主人公に攻撃的な態度を取るツンツン系のキャラだ。知的でクールな亜利美にしつこく食い下がって口説いていくストーリーが見どころの作品だといえる。なお、純紀子&真路乃姉妹は攻略対象ではないしHもない。プレイして驚かされるのは、テキストをしっかり読んでいく初回プレイではBADENDで4時間ほど、BADENDにならない場合は6時間ほどかかりそうなものだということだろうか。3000円ほどの価格帯のソフトとしては飛び抜けたボリュームがあるといえる。困ったことに難易度も高くて、Hまで進まずに途中で終わってしまうBADENDを延々と見続けることになる人もいるんじゃないかと思う。自分だけかもしれないが、11回連続でHまで進めずBADENDばかり見る羽目になった(苦笑)。どうやら新規でプレイを開始しないと先に進めずダメっぽい感じを受けた。罠だ……。ほかにも条件がシビアな部分があるため、自力でクリアするつもりならばそれなりの覚悟を持ってプレイしたほうがよいだろう。
なんというか異常に意地悪な作りという感じがする。例えば、大戦国展では奥羽⇒関東⇒北陸⇒関東⇒東海⇒東海⇒東海の順に行くのと、奥羽⇒関東⇒関東⇒北陸⇒東海⇒東海⇒東海の順だと見ることのできる差分CGが3枚も変わってくる。こんな感じではコンプリートなんて「やってられね〜」と思ってしまう。この作品には選択肢を選ぶ際にドキドキワクワク感を得られなくて、理不尽さを感じるばかりだったのが残念だ。次回作ではそのあたりを改善してほしいかなぁ〜。
本作をひと言でいえば、徹底的に避けられているツンツン系ヒロインの亜利美を追いかけ続け、少しずつだけど亜利美の態度が変わってくるのを楽しむというものだ。必然的に話が長くなり焦らされるのではないかと思っていたが、実際にプレイしてみるとこのストーリーの長さは予想をはるかに超えてぶっちぎっていたという印象だ。この価格帯の作品を普段楽しんでいる人がいつもの感覚で購入してプレイすると衝撃を受けると思う。もしかすると、この価格帯にとんでもないボリュームの作品をlightが送り込んできたことで、3000円未満の作品を主戦場としていた他社は「今後も継続的に同じボリュームの作品を販売されたらどうしよう?」と戦々恐々となっているんじゃないかと思わされるほどだ。それほどこの価格帯ではインパクトがある大ボリュームなのである。このボリュームゆえに亜利美の心が解きほぐされていく過程をじっくりと楽しめるんだけどね。ただ、この価格帯ゆえにサクサクとプレイできるものを期待する人もいるはず。このあたり、購入者の思惑と作品が完全に一致しているとは思えないんだよね。思わぬボリュームと演出に嬉しい誤算と思う人もいるだろう。だが、お手軽を期待していた人にとってはキツそうかな。お手軽を期待していたという人は、攻略を見ながらプレイするのがよさそうだ。ちなみに、CGモード枠は43個でシーン鑑賞は19種類だ。ボリューム的には不満を感じることはまずないだろう。
Copyright © light All Rights Reserved.
ゲームのシステム面は一通り必要な機能が揃っているのでプレイする上で困るようなことはないと思う。選択肢が出現するごとに自動保存してくれるから直近の選択肢10カ所を利用できるし、クイックセーブも最大10カ所が残るのでプレイしやすいはずだ。ただ、いただけないことに本作を起動しているとクリップボードに画像データが入ると勝手に消してくれるので非常にウザい。WindowsはマルチタスクOSなのだからほかの作業を行なう人もいるだろうに、ユーザーが意図しない動作を勝手にコソコソやっているわけで非常に不快感を味わった。プレイするには認証を必須にしているゲームが裏でコソコソ何かをするというのはやってはいけないことだと思う。陰で余計なことをするような作りだと、認証時に不必要な情報までこっそり送っているんじゃないかと疑ってしまうよ……。今回はうっかり証券会社や銀行との取引に使っているPCで実行してしまったから、念のためパスワード変えておこう。うぅ、面倒くせ〜。
(追記)上記部分がコピペされているようなので誤解を受けないように複数環境を使っている理由を補足しておきます。自分が複数環境を用意しているのはセキュリティ面には用心深く行動しても損はしないという考えからです。セキュリティには一般的な企業以上に気を使っている軍ですら予想も出来ない不測の事態に遭遇することもあるのですし、過剰な対策というよりはセキュリティ不安を感じている人ならば目的別に環境を用意している人も少なくないんじゃないのかなぁ?
米海軍の最高機密情報に対するアクセス権をもっていたプログラマーが開発を担当していた米海軍の第6艦隊の潜水艦群のコンピューターに、悪意のあるプログラムを潜ませたために、2006年5月に第6艦隊の潜水艦が機能停止状態に追い込まれていたことが米地方紙の報道により明らかとなった。
上記のようなニュースを見ていたら警戒してリスクを回避すべく複数環境を用意しておきたいわけですよ。なので、普段は仕事やオンラインサービスを使うメイン環境と、それ以外のサブ環境を使い分けているのです。つまりゲームはサブ環境でプレイしているのですが、本作をプレイする際にPCの切替器で環境を切換えたつもりでメインの環境にうっかりインストールしてしまったんですよね。マヌケなことをしてしまったということなり。プレイ途中で気付いたけどすでに手遅れで「やっちまったな〜」ってね。守秘義務のある仕事のデータが入っている環境で意図せぬ動作を勝手にされたら不快感を味わうのは当然のことでして。まあ、自分がミスったわけですが……。その後はデスクトップの色をPCごとに変えて2度とミスが起こらないように対策しました(苦笑)。
本作は安価なソフトでもストーリーがしっかりしていてほしいと思っている人にお薦めしたい作品だ。亜利美のクールな仮面が徐々に剥がれていくのは個人的にかなり楽しめた。ただ、絵は好みが分かれそうな感じがするのと、ヒロインがひとりであるため亜利美が好みに合うかどうかというリスクがあるかな。
(by 天城螢)
素直になることが下手な2人の不器用な恋愛
lightの低価格タイトルである本作は、ヒロインを1人に絞り、そのぶん深く描写するというベクトルの作品。それだけではなく、主人公も外観や性格、バックボーンなどがきちんと存在しキャラを立たせてある。つまりプレイヤー=主人公、ではない。主人公を嫌うヒロインと、困ったことにそんな彼女に本気で惚れてしまった主人公。この2人を客観的に見て楽しむライトノベルのような内容だ。
Copyright © light All Rights Reserved.
主人公の勾坂一重(こうさかかずしげ)は人当たりがよく誰にでも優しい……ように見えるが、傷つくのが怖い小心さゆえに本当の自分を隠して八方美人を貫ぬく男。ヒロインの真柄亜利美(まがらありみ)は人を寄せ付けない雰囲気の秀才で、勾坂の外面を取り繕う賢しさを見抜き、また他の理由もあって勾坂を思いっきり嫌った状態から物語は始まる。
ゲームを始めていきなり驚いたのは、BGMのほとんどが同ブランドの『Dear My Friend』と同じであること。低価格タイトルだから流用しているのか? もちろん『Dear My Friend』の曲がダメなんてことは無い。むしろ大好き、樋口秀樹氏の曲はみんな大好きだ。でも好きな曲ゆえに「これは他作品の曲」という先入観にしばらく引っ張られてしまった。『Dear My Friend』が大好きな人は要注意。
Copyright © light All Rights Reserved.
それを乗り越えゲームを進めていくと、さすが軽妙かつ甘いテキストで名を馳せる嘘屋 佐々木酒人氏のシナリオ。勾坂を疑ったまま侮蔑の眼差しで見つめる亜利美と、彼女に想いを伝えたいけどむき身の自分を出すことに慣れない勾坂。亜利美に博学さを見せつけて格好つけようとする勾坂と、負けず嫌いのため知識には知識で対抗する亜利美。この2人の不器用なやりとりが、見ていてとても楽しい。
ちなみに2人とも優等生なためか会話が知識のひけらかし合いになりがちで、わざわざ難解な言葉を使ったりウンチクの言い合いになってプレイヤーを置いてけぼりにするが、この知識合戦が最悪の関係だった2人の結びつきに繋がっていくので、あまり深く考えずに楽しんで読むべし。
そして冷たい態度だった亜利美の信用を少しずつ得てゆき、だんだん彼女の態度が軟化してくると……いやもう、まさにその過程こそが“クーデレ”とも言える本作の真骨頂!! 亜利美がたまに見せる可愛い仕草やセリフのひとつひとつに、身をよじって悶えて転げ回るほどの強烈な破壊力が宿る!! プレイしていると顔が緩んでニヤニヤしっぱなしだ。やばい、こいつはやばい。
Copyright © light All Rights Reserved.
そんな甘甘なラブコメ展開からHシーンが見られるくらいまで2人の関係が進展したらしたで、着やせする亜利美のロケットおっぱいは凄い迫力だし、1回や2回じゃ終わらない畳み掛けるようなHの応酬、そしてHでも負けず嫌いな亜利美の性格がしっかり残っていて安易なデレにはならない。そんなところが本当に可愛い。さらにニーソックスや眼鏡にフェチシズムを感じる人ならご飯何杯でもいけるんじゃないかな。眼鏡はHシーン前に外すか付けたままにするかの選択もできるよ。
ちなみにサブキャラである紀子や真路乃との恋愛要素やHシーンはないけれど、物語を楽しむ上でとても重要なポジションのキャラだ。彼女たちがいなければ色々な意味でこの作品は締まらないだろう。
ゲームシステムは、セーブできる箇所も多いし動作も軽い。Hシーンは回想数19。主人公とヒロインの間の空気感が大切な作品だけに、まったりとイチャつくピロートーク部分の尺が長く(回想の中には会話だけのシーンもある)、単純なHに終わらない濃密なシーンが多い。とても低価格ソフトだとは思えないボリューム感だ。しかしCG100%にしようとするとこれが、異様に難しい。眼鏡の着脱程度は繰り返しプレイで問題ないが、全体的に選択肢が多く、どの選択肢がどう影響するのかとてもわかりにくいのだ。あと、このソフトを立ち上げていると常駐させているメッセンジャーソフトの動作が不安定になるのが気になった。起動時だけでなくプレイ中も認証関係のチェックが入っているのだろうか……?
総論としては、システムの一部に不安な要素はあるものの、クーデレやツンデレが好き、思わずにやける甘いラブコメが好きな人にオススメ、そしてなによりヒロインの亜利美を見てティン!! と来た人はそれだけで買って良し!! クールな眼鏡に秘めた彼女の可愛さは間違いなく本物だ。Hシーンへ到達するまでは長いが、こういうジャンルはヒロインの態度の移り変わり、その過程を楽しむものであり、そういう意味で期待を裏切られることはないだろう。
(by 葉柳)
攻略(不完全)
本作のエンディングは6種類のようだ。一応CGモード枠はすべて埋まっているけれど、差分が8個抜けているチャートを掲載しておきます。シーンが5種類漏れているからなんだろうけどね。せめてシーン回想から回収できればなぁ……とか思ってしまう。眼鏡有無などを回想から指定して回収できるならば理不尽な回収の手間をかけずに済むんだけど。
Googleドキュメントで編集を誰でも可にしてあるので抜け部分が埋まった人は編集して頂ければ幸いです。巻き戻しはできるけどイタズラはしないでくださいね。100%にならなかったときに、情報なしよりはよいかなということで試験的運用です。