萌え萌え２次大戦（略）

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ハチャメチャな２次大戦が始まる

20世紀初頭。日本・ドイツの枢軸国とイギリス・アメリカ・ソ連の連合軍の対立から始まった戦争は戦火を広げてゆき、やがて世界大戦へと発展していった。そして、戦場で戦う両軍の最前線には兵器少女として開発された鋼の乙女たちの姿があった。激しさを増していく戦いの中、彼女たちにはどのような運命が待ち受けているのだろうか!?

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２次大戦に登場する各国の兵器の中からいくつかを擬人化して、無理やり萌えとコメディへともっていこうとした強引な作品だ。鋼の乙女たちのHPが減っていくと装甲が剥がれる（着ている服が破れていく）というシステムではあるものの、本作は一般作品であり18禁というわけではないことを最初に述べておきたい。プレイヤーが担当できるのは枢軸国のみで、「太平洋戦線」の日本か「欧州戦線」のドイツのどちらかとなる。各シナリオで戦うマップは完全勝利をしたところでまったく意味はない。日独ともに負けシナリオへと続いていくのが切ないところだ。完全勝利なのに、あかぎが沈んでしまうのなんかはなんとかしてほしかったな〜。鋼の乙女ぐらいは史実とは異なる展開を歩ませてもよいだろうに……。

なお、各戦線の最終マップをクリアした時に「ifシナリオ」が追加されるような記述があるものの、実際には特定のマップに「ifシナリオ」というのが用意されているだけだ。日本をプレイしていればドイツから、ドイツをプレイしていれば日本から、技術交流名目で鋼の乙女が援軍として登場する。ただそれだけのことを「ifシナリオ」といっているのだ。プレイヤー側の視点からは「そんだけ？」と騙された感がある作りだったかな。日本海軍のシナリオでは、アウトレンジ攻撃の特訓で、ほぼ一方的にタンカーを攻撃する演習的な難易度が最低レベルのシナリオで、ドイツから鋼の乙女の援軍が来るマップだとか無意味であり得ない作りになっていた。逆にドイツの「ifシナリオ」の場合は東部戦線の陸戦マップに対艦装備でナナとてんざんが来るから、対地攻撃には役立たずとなっている。このあたりも不満が増すところだ。「if」というだけに、勝利シナリオをプレイできるようになるのかと期待した人が多いと思われるが、そのようなものではないことに気をつけてもらいたい。

各国のキャラ

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日本の鋼の乙女は、零戦のレイ、空母のあかぎ、九七艦攻のナナ、戦艦のやまと、艦攻のてんざんの5人が登場する。日本の司令官は胸がないほうが好みらしく、てんざんの登場を喜んでいた。プレイしていない人には何のことかわからないのでここで一言いっておかねばならない。実はゲーム中の説明では、胸は装甲だか防御力にあたるものらしいとの説明がある。防御力を軽視していた日本の兵器を揶揄したものだと考えられるが、バカゲーとしては思わずにやけてしまいそうで馬鹿馬鹿しくも笑える設定だろう。そのあたりをわかっていればの話だけどね。日本の鋼の乙女で反則的なのは、あかぎだろうか。癒し系のお姉さんという設定だけあって、マップ全体を対象に、味方ユニットの回復を行なう必殺技を持っているという凶悪さだ。やまとも圧倒的な威力があり、射程4で範囲攻撃する「轟雷・覇道砲」という必殺技を持っている。4隻ぐらい一撃で撃沈していくこともよくあり、なかなか爽快だ。ただ、日本の陣容は艦上攻撃機でナナとてんざんを用意しているので、2人は性能面・用途で被ってしまうのが残念といったところだろうか。

一方、ドイツのほうの鋼の乙女は日本とは異なり、陸軍・空軍が主体となっている。Bf109がベースでいつもお腹を空かせているエーリヒ、Ju88のレント、あかぎと同じでかわいい女の子が大好きなJu87のルーデル、戦いが趣味（？）なIII号突撃砲のミハエル、攻撃力と防御力に優れたVI号戦車I型のフェイが登場する。レントとフェイは冷静で抑え役という感じであることと、序盤と終盤は航空戦で中盤は陸戦というのがあり、キャラは違えども2人は似たような行動を取っているように思えてしまい、設定が被っているように感じてしまったかな。

敵対する連合軍のほうの鋼の乙女は、アメリカ軍として登場するのは影が薄くて味方からも忘れられてしまうP40のクレア、おバカでストーリーを盛り上げてくれるF4Fのネコ、そのネコに好かれているSBD（Dauntless）のハイネ、セーラー服の胸にBIG-EのネームプレートをつけているCV6（Enterprise）の4人だ。イギリス軍は、メイド服を着て活躍するソードフィッシュのフェアリー、感情表現が苦手なスピットファイアのマーリン、アフリカ戦線からミハエルのライバルとして登場するマチルダIIのマチルダ、アメリカからレンドリースされた案外撃たれ弱いM4（Sherman）のシン、ドジッ娘のランカスターのランがいる。ソ連は狂戦士的なT-34のロジーナただ1人となっていた。アメリカ軍が登場するのは太平洋戦線のみで、欧州戦線はイギリスとロシアのみとなる。

ゲームシステム

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本編はコミカルなドタバタを見ることができるストーリーパートと、戦いを行なうシミュレーションパートを繰り返してエンディングへと向かっていく。ストーリーのほうはバカゲーだから実際に体験版をプレイしてみるのが感触を掴むのに手っ取り早いと思う。むしろ気になるのは、（体験版である程度はわかるとはいえ）シミュレーションパートのほうだろう。シミュレーションパートでは、鋼の乙女には配下として2つのユニットをつけることができる。日本の場合だとレイに最初つける配下はまず間違いなく戦闘機（隼）2つとなる。戦場となるマップに初期配置で友軍が用意されていない限り、鋼の乙女と配下ユニットのみで戦っていく展開が待っている。鋼の乙女と一般ユニットでは性能が隔絶しているため、最初のうちは配下はあっさり撃破されていくことが多いだろう。それにしても、海軍の零戦レイに陸軍機が従うのは違和感を感じる。出撃時の選択にもよるが、真珠湾上空に隼や九七重爆撃機が飛んでいるシーンはかなりシュールな光景だ。

なお本作は、シナリオを先に進めていくための「マップ開始」とは別に、何度でも訓練ができるようになっているので、勝てないと思ったら訓練を行ないレベルを上げてから挑戦することもできる。鋼の乙女と配下ユニットのレベルは50まで上げることができ、レベル50ともなると配下ユニットも凶悪な性能となるので楽勝な展開となるはずだ。ある程度レベルが上がると、ユニットはクラスチェンジができるため、より優秀な兵器へと進化を遂げることができる。ちなみに、クリア後にセーブしたクリアデータをロードするとレベルを引き継いだままプレイを開始できるので、2周目以降のプレイではかなり楽に戦っていける。一応、戦力となる配下ユニットの進化は以下のようになる。

鋼の乙女たちもレベルが上がるとクラスチェンジで火力や回避を上げることができるが、敵の鋼の乙女が必殺技を使うと回避を上げても攻撃が当たってしまうため、火力を上げたほうがプレイは楽な感じだ。しかしながら、シナリオを進めていくときには鋼の乙女のレベルを上げるよりも、配下ユニットを育てたほうが楽かもしれない。例えばレベルが50になったDo317は非常に凶悪で、HPは375で倒されにくく、攻撃時に一定量が消費されるEPの最大値も375あり十分。しかも攻撃面では陸海ともに威力175になる。一撃で陸海の敵ユニットのほとんどを撃破できてしまう。プレイ時に敵が強くて困ったらのならば、配下ユニットを育ててみるのがよいかもしれないね。

まあ、ここまではプレイ時に感じた印象やゲームの流れを紹介してみたわけだが、ゲームのシステムやシナリオ設定のほうにも触れておきたい。まずひと言で本作の印象を述べるならばかなり大味な作品だ。ユニットの性能もいい加減というよりも、ここまでくるとやる気がないという作りで、IV号戦車とV号戦車とVI号戦車II型が同じ性能（なんと耐久度も攻撃力も同一）でマップに登場するという大味さ。ユニットの見た目も、戦闘機・爆撃機など大まかな分類ごとに1種類あるだけで、どのユニットが何なのか非常にわかりにくい。攻撃機は艦攻も見た目が陸攻だったりして目眩すら感じてしまう。ほかにも重巡洋艦と戦艦武蔵の耐久度が同じとかあり得ないし(笑)。真珠湾にいるアメリカの旧式戦艦は耐久度68〜88なのに、駆逐艦が100以上あっておかしいし、それどころかタンカーの耐久度が110あるという奇々怪々なユニット性能。これもネタなのだろうか？　はっきりいってシミュレーションゲームだと思って購入すると大怪我をすること間違いなしな作りだといえるだろう。あくまでもネタだと認識した上で手を出さないとショックで打ちのめされると思う。バカゲーとしては面白いとは思うんだけどね。

肝心なシミュレーション部分は、ユニットをクリックしても即座に移動先選択とならず、移動コマンドをクリックしないと動かせないという不便さがある。攻撃時にも選択しようとしている武装でどれだけ相手にダメージが与えられるか表示されないため、移動＆攻撃前に各武装の威力とEP消費量をいちいち確認しないといけないという不便さが非常に気になる。ゲームの中心となる部分での操作性にかなり問題がある作りだといえるだろう。昔の大戦略では実現されていたことが何故にできなくなって不便になっているのか非常に謎だ。

あとはバグの多さにもまいってしまった。本稿を執筆している時点で修正ファイル1.02が出ているが、まだ直っていないバグがいくつもある。一度見ただけでその後再発していないものとしては、ネコが友軍（アメリカ軍）ユニットを必殺技で攻撃するというとんでもない現象に遭遇したことがあった。よく起こるバグもある。欧州戦線のドイツのEpisode3でラストの次回予告がおかしいというのは特に痛いバグだ。次回予告の文字がバックに表示されていないあたりにバグの原因がありそうだが、ナレーションの途中で止まって先に進めなくなると感じている人が多いかもしれない。購入してプレイしていた仲間うちで先に進むためにはどうすればよいのかと話題に登ったこの「先に進めないバグ」は、マウスクリックではなくEnterキーを押すと進むことがあるとか、メッセージをSKIPすると通過できることがあるとか、通過する方法が見つかるまでに時間が掛かってしまった（まったりプレイしていた自分は究明作業にほとんど貢献できなかったが）。

ストーリーとか

どこまでもギャグに突っ走っているという感じなので、万人受けはしないんじゃないかと思う。突っ込みどころが多くて自分は楽しめるストーリーだったけどね。日米開戦の理由からしてネタだもん。明らかに変だったのは、ウェーク島への上陸作戦の前振りのテキストかな。どういう勘違いをしたらこんなミスが起こるのかわからないが、「トラック島への上陸作戦」とかアホな記述になっていたし。インド洋への進出も衝撃的にマズい展開となっていた感じだな。セイロン島沖海戦・後半のマップなんか初期配置のユニットで戦艦武蔵が3隻もいるって……いくらなんでもありえねーだろ〜？　鳳翔が参加しているとか参加艦艇もずいぶん違うし、かなりずさんな作りだと思う。おまけに各ユニットの説明文も誤字脱字だらけでひどいんだよね。ほかにもポートモレスビー攻略がFS作戦とか、シナリオを書いている人はまったく２次大戦の知識なさそうな感じ。珊瑚海海戦なんかは、ナナとネコが望遠鏡で敵がいないか見ていてお互いにを発見するところから始まるとかいうツッコミどころのネタには困らない作りだ。空母同士の戦いが有視界内に入ってから攻撃準備かよ(笑)。わざとやっている釣りなのではないかと思ってしまう部分が多いんだよね。しかも、日独とも最終マップが唐突な終わり方というか、「そのマップがラストなのか？」という妙な部分で打ち切り的に終わっているような気がする。日本はレイテがラストだし、ドイツは日本のシナリオよりももっと早い段階で終了してしまうのが惜しい。

やり込みモード？

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まあ、キャンペーンシナリオはストーリーやマップにツッコミを入れながらプレイして楽しめばよいわけで、ほかには何かあるのか気になる人もいることでしょう。本作はキャンペーンシナリオとは別に難易度が高いマップを集めた「Challenge」モードも用意されている。このモードは絶望的にキツい戦いが待ち受けているので、クリアするのはかなり至難の業だろう。沖縄に大和が特攻する「坊の岬海戦」なんかは、それこそ対空射撃を1回でもしくじって外したら負けるシビアさだと思う。「ノルマンディー上陸作戦」は敵に大規模な航空部隊がいるのに、対空攻撃力を持っているのはフェイだけ（しかも対空攻撃力はわずか10）と援軍でも来ない限り絶対無理なんじゃなかろうかという作りだ。「クルスク戦 ソ連編」も無謀で、（ユニット名が違っても性能が同じとはいえ）軽くショックを受ける「なんでこの時期この場所にVI号戦車II型がいるんだ!?」という衝撃の設定。（なぜか）性能的には勝っているものの物量で押しつぶされてしまう。

「クルスク戦 ソ連編」「ノルマンディー上陸作戦」以外は自分のまわりでクリア済みの人がいるのだが……。もはや残っているマップはどれもこれも無理っぽいと感じていたりして。このモードは1回10分ぐらいのプレイで終わるから、気が向いたときにチャレンジしてみるつもりだけどクリアできる兆しが見えないなぁ〜。

ちなみに、「台湾沖港空戦」「ヴィレルボカージュの戦い」は早期購入特典で手に入る追加のマップだ。%Install Folder%\moemoe2zitaisen\Data\SLG\SLG_Sys\MAPINFO.DATを見ると、「ろ号作戦」「プロホロフカ戦車戦」がマップタイトルとしてあるから今後の追加シナリオはそのあたりなのかも？　%Install Folder%\moemoe2zitaisen\Data\SLG\SLG_Sys\UNITINF.DATのほうを見てみると使われていない（と思われる）流星改のユニットデータがあったけど、没ユニットなんだろうか？

(追記 2008/01/05 13:34) やはり「ろ号作戦」が特典の追加マップだった。アメリカ側に鋼の乙女がいないのでかなり楽勝でクリアできると思う。味方零戦が全ユニット攻撃をミスるという珍事があって一度負けた自分のような運のない人を除けばね。

(追記 2008/01/12 00:20) 早期購入特典のラストは予想通り「プロホロフカ戦車戦」でした。数的劣勢であるため、射程3のフェルディナントがどこまで活躍できるかにすべてが掛かっている感じのシナリオで難易度は高そう。ゲーム本編のほうも修正ファイル1.03が出て欧州戦線で止まるというのは解消されたようだ。

全体的にみてバカゲーとしてはそこそこ楽しめる作品だと思うが、シミュレーションゲームとしてはダメという感じだ。萌えのほうはプレイヤーの好みにより印象が変わりそうなので微妙かもしれない。萌えの期待をどのあたりに考えているかしだいで印象はかなり変わりそうだった。バグが多かったこともあってお薦め度は低くなっているが、バカゲーが好きならば＋1してもよいと思う。

（by 天城螢）