姫さまっ、お手やわらかに！

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傍若無人なお姫様がやってきた！

©戯画

南国の楽園、マジャプーラ。主人公は幼なじみの時田恋心や千寿院ちとせたちといっしょにお祭りを楽しんでいた。ところが、お祭りのステージに2人の女のコが乱入。女のコは既に滅びたヴィジャヤ王家の末裔、パフィン・プラクリティ・ラーマティアン7世と名乗り、街の支配を宣言！　主人公と恋心はパフィンの奴隷とされてしまい、騒動に巻き込まれていくのだった。

物語は天上天下唯我独尊、ワガママで自己中心的でな自称お姫様、パフィンが騒動を巻き起こし、主人公たちがそれに巻き込まれていくという展開。ただ、パフィンはワガママなのは間違いないんだけど、たとえ危険なところであっても自分が先頭を切って突っ込んでいくし、終始一貫したポリシーというかモラルに基づいて行動しているので、プレイしていて不快感はまったくナシ。ポリシーやモラルが普通の人とちょっとというか、大幅にずれているところが上手く笑いに結びついているという印象。パフィンが窮地に陥ると、「天佑」というご都合主義で助かったりするわけだけど、このキャラクターならそれもアリかなぁ、と思わせるだけの魅力があるね。

このゲームでメインヒロインといえるのはパフィン、時田恋心、千寿院ちとせの3人。パフィン以外の2人に関してもキャラクターとしての魅力は十分。なんでもエロいことに結びつけて考えようとする恋心や、腹黒なちとせも良い味を出している。ちとせなんかは一歩間違うと嫌味なキャラになってしまうところだけど、腹黒であることをきちんと自覚していて、主人公にカミングアウトしているところが好印象。サブヒロインであるパフィンお付きのメイドの名取や、ちとせのボディガードの小山内小桃にも短いながらもきちんとシナリオやエンディングが用意されているので、どのキャラを気に入ったとしても楽しめるんじゃないだろうか。

©戯画

システム面に関しては細かく設定できることもあって、必要十分。通常のメッセージスキップ以外に次の未読シーンまで一気に飛ぶこともできるので、プレイは快適そのもの。繰り返しプレイしてもストレスはまったく溜まらない。オマケモードではCG、Ｈシーン回想モードは当然として、CGのないイベントもすべて回想できるようになっているのが嬉しい。普通にゲームをクリアすれば、イベントもすべて回収できるようになっているので、理不尽に難易度が上がることもなく、ゲームバランスも良い感じかな。

このゲームの問題点は、ゲーム全体のボリューム。共通ルートが結構長いこともあって、2周目以降のプレイはあっさりと終わってしまう。あっさりしすぎていて、定価8800円のフルプライスのゲームとしては物足りないボリュームといわざるを得ない。CG枚数にしても同様で、差分抜きでカウントすると52枚。フルプライのゲームでは80〜100枚程度が平均的という現状を考えると、この枚数はボリューム不足といわれても仕方がないと思う。また、Ｈシーンへの突入の仕方がかなり唐突なことも気になった。直前までドタバタとしたコメディタッチの物語が展開されていたのに、突然「あなたが好き」と言われても、プレイヤーとしては感情移入できないしね。これはパフィンのシナリオで特に顕著で、いかにも取って付けたような感じになってしまっている。

トータルで見ると、悪くはないんだけどフルプライスのゲームとしてはボリュームが今ひとつ。せめてミドルプライスで発売されていればオススメ度☆4つつけても良かったんだけど……というところ。コメディとしては他の作品やネットネタがまったくなく、あくまでキャラクターの行動で笑わせる正統派なので、コメディは好きだけど他の作品のパロディで笑わせようとするのは嫌いという人にオススメしたい。

   使い方

攻略

キャラクター選択で攻略したいキャラクターを選択していけばOK。ただし、小桃はちとせ攻略後、名取はパフィン攻略後でなければ攻略できないことには注意すること。すべてのエンディングをクリアすると、タイトル画面でタイトルロゴがクリックできるようになるので、これをクリックすればシナリオ「姫さま、お手やわらかに！」がプレイ可能になる。このシナリオをクリアすればコンプリートだ。

（by Suno）