秋のうららの〜あかね色商店街〜

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お兄ちゃん生活も大変!?

©2007 ブルームハンドル

大学の助教授だった母が突然ベトナムへ行ってしまい、ひとり暮らしをすることになってしまった幸助。それから半年が経過し、突然2人の女のコが妹として幸助の前に現われた。母が再婚してできた可愛い妹たちと3人で暮らしていくことになった。だが、親たちはマイペースに地球を一周するから1年ほどは日本に帰ってこられないのだという。しかも姉妹の父親は人がよすぎて騙されやすい性格で、多額の借金を抱えていた。困ったことに3人の住むアパートの大家にも1000万円の借金があり、追い出されかけてしまう。幸助が全額返済することを約束して追い出されるのだけは免れたが、長くて険しい貧乏生活が始まる。下町の人たちの人情に助けられながら、妹たちを守るために幸助は必死にアルバイトをすることになる。次々と押し寄せてくる問題に対処することになる幸助の運命は……？

登場するヒロインは他人の親切を信じることができない義妹小田島小鈴と、その妹で愛らしい仕草であっという間に茜町のマスコット的存在になった小田島まゆ。そして下町で一番の資産家の娘で幸助に惚れているが素直になれないツンデレお嬢の金田鮎。このあたりはガチでかなりいけている。ほかには、同じアパートの住人で謎の多い不思議系お姉さんの羽田芳美と、幸助の担任で小柄・童顔で感激屋な新米教師宮森ちまりが登場する。

©2007 ブルームハンドル

人情味あふれる人々とのほんわかとしたシナリオが魅力となっているこの作品だけど、まあそういう面とは別にコメディ的なものもあったりするから、そこに面白さを感じる人もいるんじゃないかと思う。登場するキャラクターはみんな個性的で、シナリオとうまくマッチしていて盛り上げてくれる。まあ、序盤はちょっとまったりしすぎの感はあるが、中盤あたりからは悪くない。むしろイイ感じに引き込まれていくんじゃなかろうか。人情厚い人たちばかりということでプレイ前にはシナリオが盛り上がりに欠けるのではないかとやや不安を感じていたのだが、要所要所を押さえた作りのシナリオだったと思う。

また、ある程度シナリオが進むごとにまゆが父へ書き綴っている手紙が表示されるのが一風変わっているかな。見どころは下町商店街の人たちの人情。そして、頑張りが空回り気味な幸助とそれを助ける人たち。すべてにおいて幸助に反発していた小鈴の態度が変化していくさまも注目するべきところだろう。

小鈴ルートは彼女の好きな陸上のことをめぐるすれ違いがテーマになっているんだけど、妹のことを考えているとかいいつつ俺ルール（価値観）の押しつけを主人公がしているから、自分は主人公の行動に共感しづらかった。これは個人的な好みの問題だから受ける印象はプレイヤーによって違うはずだけど。まあ、土壇場でそれに気付く鈍い主人公への小鈴の反応や、その後の周囲の応援とシナリオ展開はよいんですけどね。マスコット的な存在のまゆのルートは大家がまゆを養女にもらいたいと言い出したことから家族愛をテーマにしたシリアスな展開となる。そうかと思えばバカップルぶりを見せてくれたり、急展開があったりして結構意外だった。芳美ルートは意外にもエロエロな展開からシリアスな話に突入していくところが見どころで、鮎ルートは10年来の淡い恋心を一途な思いを貫き通して恋が成就するまでが描かれていて、それが魅力かな。ちまりは見た目だけじゃなく中身もそのまんまというベタベタに攻めて来るシナリオで好きな人にはらまらない展開だ。いずれも楽しめるシナリオではあるものの、ルートが分岐してからの話が短いのが残念かな。あとはＨシーンのあとに唐突にエンディングになったりするルートもあってちょっと焦ってしまうかもしれない。詰めがちょっと甘い感じがする。

©2007 ブルームハンドル

システム面はクイックセーブ・クイックロードもシナリオのバックログも高速なメッセージスキップも完備されていて一見問題なしかのように思えるが、クイックセーブ・クイックロードに問題がある。クイックロードはクイックセーブした時点へ戻りたいときに使うと思うのだが、クイックセーブ後に普通にデータをセーブしてしまうと、クイックロードではそちらのセーブデータが呼び出されてしまうことがあった。どうもクイックロードは最後に保存したデータを呼び出すことがあるようで、バグっぽいこの現象が発生すると使いにくい気がするかな。この動作の再現条件は突き詰めていない。正常にクイックセーブしたデータをロードできるときもあるから条件の特定が難しくてね。うちの環境でだけ発生している特殊なケースならばよいのだが……。それ以外は快適にプレイすることができた。もちろんバックログを閲覧中に必要ならば音声を再生することも可能だ。メッセージウインドウなんかもゲームのイメージにあわせて暖色系が基調となっているのもいい。デザインがシンプルすぎる気もするけどね。CG/回想は小鈴18/5、まゆ19/4、芳美16/4、鮎16/4、ちまり7/2、その他6/1でCGはカットインも26登録される。CGは100枚以上だからボリューム的に問題はないんじゃないかな。

可愛らしいキャラクターたちと萌えゲーが好きな人にぴったりな作品ですね。個人的にはぶっ飛び暴走気味な鮎がお気に入り。ツンデレな上に裸エプロンの披露ときましたよ。けなげな鮎はかなりいいね〜。鮎ルートを3〜4回意味もなくプレイしてしまった……。まゆも守ってあげたい感じになるなんとも言い難いオーラが出ていて、ルート突入後の悶絶してしまいそうなラブラブっぷりがたまらない。鮎とまゆに萌え萌えな自分のお薦めは☆☆☆☆+といった感じ。お薦め度はそのあたりを少々差し引いて考えたほうがよいかも？

   使い方

攻略

基本的に攻略したい女のコに向かうような選択肢を選んでいけばエンディングをコンプリートするのは難しくないだろう。だいたい誰の好感度が上がるかわかりやすい選択肢が多いが、そうでないものは問題を家族で解決しようとすれば小鈴・まゆの姉妹、そうでなければ選んだキャラの好感度がアップしていくと考えてよいだろう。

（by 天城螢）