ワンコとリリー

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ワンコと送る癒しの物語

父親と仲が悪く、家を出ていた主人公。だが、その父が死んで数年ぶりに家に帰ることになった。そこで待っていたのは幼なじみの透子と1匹のワンコだった。ペットが苦手な主人公だったが、そのワンコは行き場所がないこと、透子の頼みであることから、仕方なく引き受けることに…。

最初に言ってしまうと、この作品はゲーム本編にストーリーらしいストーリーがない。犬と一緒に散歩に行きました、オシマイ。ストーリーはこれだけ。いや、別にふざけてるわけじゃなくて、本当にこれだけの物語だったりする。それから、タイトルが『ワンコとリリー』という割には、ヒロインとなるのは透子のみ。ゲーム本編中のＨシーンも透子のものだけだ（クリア後にプレイ可能になるおまけシナリオではワンコやリリーとＨ可能）。ちなみに、この作品世界の犬は姿形が人間と似ているという以外は現実世界の犬とほとんど同じ扱い。現実世界の犬よりは頭がいいような感じはするけどね。これだけ聞くと単なる駄作に見えてしまうかもしれないけど、それだけでは終わっていないゲームであることも確か。まず、雰囲気が非常にいい。悪人のいない、悪意の欠片もない優しい世界。ホンワカと暖かい雰囲気を味わうことができる。ここまで暖かい雰囲気を感じさせてくれる作品はなかなか見つからないだろう。CUFFSの前作『さくらむすび』が好きだった人なら、この雰囲気だけでも十分に楽しめるんじゃないかな。さらに、主人公と一緒に行動することになる透子やワンコ、リリーが凄く魅力的に描かれているものポイント。さらに、透子と主人公のイチャイチャぶりもいい感じ。特に後半のラブラブっぷりは破壊力高め。Ｈシーンも実用的かといわれれば否と答えざるを得ないけど、最後まで優しい感じで進んでいくので、物語に雰囲気には合っているね。

©CUFFS

ここまでならばちょっと変わった雰囲気の作品だけどなかなかの良作といえる。だけど、物足りない点も少なくないのが問題。まず、物語全体のボリュームが少なすぎる。プレイ時間は4〜5時間程度。最低で2回プレイしないとゲームをコンプリートできない仕様だけど、2回目のプレイはほとんどメッセージスキップできてしまうので1時間もかからない。イベントCGの枚数も差分CG抜きで18枚。このボリュームでは低価格ソフトならまだしも、5000円のミドルプライスのソフトとしてはコストパフォーマンスが良いとは言えないだろう。音声がないのも寂しく感じられてしまう。それから、ヒロインである透子と主人公の関係が物語の中で描かれていないことも問題。2人は幼なじみであり、以前からお互いに好意を抱いていたという設定なんだけど、なぜ好意を抱くようになったのかという理由、プレイヤーを納得させるだけの過去のエピソードなどがほとんど語られていない。どちらかというと、透子との恋愛も優しい世界観を演出するためのスパイスの1つという扱いに近い。このあたりがしっかりと描かれていたら、透子に対する感情移入度ももっと高くなったと思うんだけどねぇ。

正直に言えば、何とも評価のしづらい作品という印象。ゲーム性や物語、CGのボリュームを求めるプレイヤーにはまったく勧められない作品と言える。反対にひたすら優しくて、ゆったりした雰囲気が好きなプレイヤーならば、この作品を楽しむことができるだろう。ここまで癒される物語はあまりないですよ、ホント。ゲームをプレイして鬱になったり、イライラしたりしたくないという人で、ボリュームの少なさを納得できるならプレイして損なしというところかな。

   使い方

攻略

このゲームのエンディングはノーマルエンドのエンド1とトゥルーエンドのエンド2の2種類。初回プレイではエンド2に必須となる選択肢が出てこないため、エンド1となる。エンド2を見るためには2回目以降のプレイで「覚えている」を選ぶ必要がある。とりあえず、エンド1→エンド2の順番で見ていけば間違いはない。そして、エンド1を見るとタイトル画面のおまけから「いってきます」が、エンド2を見ると「おかえりなさい」が選択可能になり、この2つをクリアすると「ただいま」が選択可能になる。全てをクリアするとゲームコンプリートだ。

（by Suno）