かいわれっ！

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心と体が入れ替わった4人の運命は？

©FlyingShine

主人公の國枝優真とその友人、堀添凜、柴森海音、越中忠文の4人は学園で居心地のいい場所を見つけた。それはなぜか取り壊されずに残っていた旧校舎の一角にある園芸部の部室。放課後になるたびに4人はそこに集まり、とりとめのない話に興じた。そんなある日、優真は何気なく「ねえ、誰になりたい？」と仲間たちに問いかける。その時、急激なめまいが4人を襲い、4人の心と体が入れ替わってしまう！　果たして、4人は無事に元の体に戻れるのか？

心と体が入れ替わるというネタ自体は他のブランドで過去にもあったし、取り立てて物珍しいものではないね。むしろ、古典的といってもいいかも。このネタのいいところはコメディにしても良し、シリアスにしても良しという使い勝手の良さだろう。プレイ前はCGの絵柄やFlyingShineのホームページの感じから、コミカルなストーリー展開なのかなと思っていた。心と体が入れ替わったことによる、ドタバタが描かれるんじゃないかと思っていたわけだ。結論から言うと、この予想は大外れ。コミカルなドタバタも皆無ではないものの、入れ替わりが始まるとすぐにヒロインごとの個別ルートに入ってしまい、個別ルートではかなりシリアスな物語が繰り広げられる。シリアスというよりも、鬱な展開といった方がいいかもしれない。物語の流れ的には、入れ替わりが起こる過程で無意識のうちに抱えていた問題がえぐり出され、主人公たちが追いつめられていく。そして、しだいにお互いを理解し合い、問題を乗り越えていくという展開。どのキャラのシナリオもラストはそれなりに綺麗にまとまっているんだけど、その過程はかなりキツイものが多いので、この点は好みが分かれてしまうかもしれない。物語的には無理のない、これ以外にないだろうというところに落ち着くので、個人的には予想は外れたものの、これもアリかなと思えるものだった。

ただ残念なのは、共通ルートがあまりにも短すぎたこと。共通ルートが短すぎて、主人公やヒロインに感情移入する前に個別ルートに入ってしまうので、主人公たちがどんなに苦しんでいてもプレイヤー側はどこか冷めた目で見てしまう。まあ、共通ルートが長すぎるのも問題だけど、ここまで短いのも問題。共通ルートで登場人物たちの日常生活や、抱えた悩みをしっかりと見せてくれていたら物語後半の感情移入度がまったく違ってきたと思うんだけどね。タイトルにもなっている「かいわれ」が主人公たちにとってどんな意味を持っているのかも今一つ伝わってこないし。物語終盤での盛り上がりや、主人公の行動などはかなり良かっただけに、この点は本当にもったいなかったと思う。また、CG枚数は差分抜きで80枚と標準的なところだけど、Ｈシーンに関してはボリューム不足。Ｈシーンは各キャラ1回だけで、尺も短め。物語の流れ的にもとってつけたような感じで、盛り上がりに欠けるという印象。実用性という部分ではあまりオススメできないかな。

システム面ではごく一般的なコマンド選択型AVGで、特筆するところはない代わりに、大きな不満もないもの。敢えて言えば、コマンドが全てひらがなで表記されているので、ちょっと見づらいかなというくらい。システム面でもストーリー面でも大きな破綻のない、きちんとまとまっているゲームだけに序盤から中盤にかけての描写の淡泊さが悔やまれる。コミカル路線に振るにしても、シリアス路線に行くにしても、もっとゲーム全体にボリュームを持たせてくれたら、評価はかなり変わったんだろうけどねぇ…。不器用に生きていく主人公たちの青春というものに共感を覚えることができるのなら、プレイしてもいいかな。

   使い方

攻略

選択肢は少ないので、難易度も低い。キャラ選択の場面で越中を選び続けるとサブヒロインである恵子と美晴のエンディングを見ることができる。そして、メインヒロイン2人とサブヒロイン2人のエンディングを見ると、新たな選択肢が追加され、真冬ルートに進むことができるようになる。真冬ルートは選択肢によってルートが2つに分岐するので、セーブデータを利用して両方のルートを回収しよう。

（by Suno）