姫さま凛々しく!
Q-X | Windows98/Me/2000/XP | 800x600 |
パッケージ版:8800円(税別) ダウンロード版:6800円(税込) | 1Play13時間 | 属性:ファンタジー、純愛、お姫様 |
難易度:7 | 2006/6/23発売 | オススメ:☆☆☆☆ |
お淑やかなだけがお姫様じゃない!?
人の感覚や記憶をも狂わせ、踏み込めば二度と戻れないと言われる「果無の森」。そこを一人彷徨うのは、物語の主人公であるルナリーディ国の王子テュロウ。森の魔力のせいで何故自分自身がここにいるのかさえも徐々にあやふやになり、さらには生きる意志さえも失いかけていた。そんなとき偶然に見つけたのが、気を失って倒れている謎の少女。とりあえず彼女の介抱をして色々触ってるとテュロウの本能が目覚め、失いかけていた気力も少々取り戻した。目覚めた少女に散々なじられつつ事情を聞くと、どうも彼女は異世界から突然来てしまったらしい。その少女、千名希(ちなき)と森からの脱出を試みようとすると、タイミング良く森の住人の妖精が現れ脱出を手伝ってくれた。家族との再会も記憶を失っているテュロウには分からないことだらけ。どうも彼が行方不明になってから一年も経ってること、そしてそれは何者かの陰謀かもしれないということも分かってくる。とはいえ、4つの国と1つの中立都市からなるこの世界は、それほど物騒なところでもないらしい。口喧嘩程度の小競り合いはあるが、大国同士戦争をするとかもなく、人同士争いのない一見して平和そのものの世界。ただ、それは特別な力「血鳴(ちなき)」によって守られていることもあるようだ。一種の超能力のようなこの血鳴は各国の王族が特に並はずれて強く、それによって秩序が保たれている面もある。しかし、それ以上に誰しもが本能的に争いを望まないのを当たり前ように思っていることも不思議だ。さらに、近年謎の脅威が迫っていることもあり、国同士が団結しようということも理由の一つ。とにかく謎の多い世界だが、とりあえずテュロウには自分自身を取り戻す、あるいは今の自分を受け入れること、さらに近くに迫る王位継承問題という面倒ごとも考えなければならない。テュロウを心底心配する姉のマナフィーゼや他国のお姫様、さらには千名希といった魅力的な女の子たちに囲まれ、深刻なようでどこか気楽な彼の将来はどんなことに?
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キャラ絵などが気に入ったので興味を持ったこともあり、正直なところゲームをやる前の印象はファンタジー学園ものかと思っていた。ある意味外れてはないのだが、基本的には世界の謎を追っていくのが軸になる物語展開となる。前半は特にテュロウの感情が欠落してることなどもあり、自分探しと世界の謎を追求するといった展開。やがて中盤で恋愛感情に目覚めたテュロウは、一人に絞ったヒロインと過ごしながら物語の確信に迫るという流れになる。公式的にメインとなるのは4人のお姫様たち……とはいえお姫様なのか微妙なのもいるが。異世界から来た少女千名希、隣国の幼馴染みだがテュロウを嫌う冷静な少女みさら、テュロウの姉で年齢逆行の呪いがかかっているマナフィーゼ、外見が獣人のような種族のシャンレナ。本当は一応まだいるが、彼女たち4人がメインヒロインという位置づけ。物語の軸となるところはシリアスだが、雰囲気はかなり明るいので暗さは全くない。キャラが生き生きと描かれていることで、そういう雰囲気を作り出してるといえるかな。普通のAVGとちょっと違うのは「気持ち調合」なる選択肢。まずは行動を選んで、そのことに対する感情の度合いさらに決めてやるというものだ。これは心の奥底にある感情をうまく表に出せなくなったテュロウの心情を表す物として、結構面白い試みといえる。選択肢が膨大というわけでもないが、少々プレイ時間が長いのと分岐が分かりにくいところもあるので、難易度はちょっと高いかもしれない。
システム的な特徴はそのくらいなのだが、先にも書いたように予想と違った内容だったのがいい意味で期待外れだった。プレイ時間はAVGとしては長い方だが、先を知りたくなるような物語展開がかなりいい感じ。非常に丁寧にシナリオが練られていて、一点を除いてはかなり好感が持てた。とにかく序盤から謎の多い展開で、さらにはテュロウが記憶を無くしていることもあり、彼が知っていたはずのことをもっと知りたくなる。序盤から出る謎も徐々に明かされていくし、世界の謎の部分もよく考えられている。メインヒロインが少ないというのはマイナスではないのかとも思ったが、一人一人のヒロインについて非常に深く掘り下げてる。なにせ中盤でヒロインが確定したら、あとは彼女一筋な展開なので女の子たちの魅力もよく伝わってくる。また、血鳴を利用したエッチがなかなかのアイデアもの。テュロウの持つ血鳴は短時間ではあるが自分の完全なる分身を作り出すこと。つまり女の子と一対一で3Pできるということで、なにげにこれは面白いところだった。少なくともファンタジーっぽいのが好きで、ヒロインが気に入ったら世界に引き込まれるだけのデキといえる。さりげなく音楽もいいのもポイント。
とまぁ結構褒めたかもしれないが、なかなか魅力的なシナリオなので気になる点もまずそこにある。シナリオで気になった一点というのは、主人公テュロウがあまりにも強引にエロエロ言うところかな。それなりに魅力的な人物に描かれていて好感は持てるが、事あるごとにエロだエロだ連発されるので見てる方としては萎える。ここにある種のしつこさを感じた。物語がいい感じで進んで先を知りたいって時これになると、正直プレイを止めようかとも思ったくらい。ただ、これも後々彼の成長を見ると微笑ましいことではあるので難しいところ。あとはシステム面のウリである「気持ち調合」だが、最初見た時確かに面白い試みだとは思った。ただ、乱暴な言い方をするとこれもただの選択肢にすぎない訳で、もう一工夫あると良かったかなという感じ。良いアクセントだとは思うので、いずれこれの発展形も見てみたい。ああ、そういえばファンタジーものってことで触手系とか期待する人もいるかもだけど、一応出るには出るけど本格触手ではないと一言。
ヒロインの数がちょっと少ないかなというところも、細かい描かれ方をしてるために下手にたくさんいるよりはこういう方が良いとも思った。一見マイナス要素になりかねない部分をプラスにしてるあたり、かなり頑張ってるように思う。細かく描かれているが故にプレイ時間が少々長めなのは問題とも言えるが、質のいい物語展開なのでそこも許せる感じだったかな。ファンタジー好きで純愛物好みなら、ぱっと見で気になったらお勧めではある。序盤は純愛にはほど遠いけど……。まぁでも、まとまった時間取れる時にプレイした方がいいかなぁ。気付いたら睡眠時間無くなるのは問題だわ。
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(by Norn)