委員長は承認せず!〜It Is a Next CHOice〜
Chien | Windows98SE/Me/2000/XP | 800x600 |
パッケージ版:8800円(税別) ダウンロード版:3000円(税込) | 1Play6時間 | 属性:学園コメディ |
難易度:8 | パッケージ版:2006/6/2発売 ダウンロード版:2008/11/28発売 | オススメ:☆☆ |
監査委員となって怪しげな委員会に潜入
私立倫応学園は様々な委員会により、全てが運営されている学園。年に1度開かれる総会を前に、調停委員会に1つのメールが届いた。そのメールは、学園の委員会システムを崩壊させるという予告メールだった。そこで調停委員会委員長の高城麟瞳は、転校生の隠野玖郎を監査委員として、怪しげな活動をしている委員会を秘密裏に潜入、調査させることにしたが…?
あらすじだけ見るとシリアスっぽいストーリーに見えるかもしれないけど、実際は学園コメディっぽい感じの物語。主人公の隠野玖郎が監査委員会の仮面カンサーとなって調査対象の委員会に潜入するわけだけど、仮面カンサーは、単にガスマスクを被っただけのヘンなやつだし、玖郎自身、特別な能力がある訳じゃないから潜入するたびに発見されて追いかけ回されることになる。ハッキリ言ってかなりかっこわるい主人公で、物語前半はドタバタコメディ的な雰囲気が強い。この前半部分はすごくテンポが良くて、学園コメディが好きなプレイヤーだったらなかなか楽しめるんじゃないかな。それに加えて、登場するキャラがとても魅力的。ヒロインとなる高城麟瞳、経・アダムスミス、診撚縁、メアリー・ショルジニ、凪葛刃の5人はどれもはずれナシ。ただ、典型的委員長キャラというのは出てこないので、「委員長」という言葉にこだわりすぎると肩すかしになってしまうかもしれない。
©Chien
物語後半はキャラ別のシナリオになり、ヒロインの所属する委員会が事件に巻き込まれ、主人公がそれを解決するというシリアス展開。この部分はテンポがいいというより、急展開すぎたという感じだ。プレイ時間が延びてもいいから、もうちょっと事件をじっくり描いた方が良かったかな。ただ、キャラによってストーリーが全く違ってくるので、繰り返しプレイすることが苦にならないのは良かった。ただし、麟瞳ルートを最初にプレイしてしまうと、それ以外のルートでもオチが読めてしまうので、麟瞳ルートは最後にプレイするのがオススメだ。
さて、ここまでならばこのゲームは、オススメ度☆4つつけてもいいくらいの内容。ではなぜオススメ度が☆2つなのかと言えば、ひとえにシステムがマズイから。まずこのゲームはかなり選択肢の数が多いんだけど、この選択肢が難易度が高いと言うより理不尽なものになっている。一見無意味な選択肢に見えて、最後までプレイするとそれが伏線になっているというのなら、たとえバッドエンドになってしまっても納得がいく。だけどこのゲームは最後までプレイしても意味があったとは思えない選択肢が多数存在する。難易度が高いのと理不尽なのは違うということが制作者は分かってないんじゃないかな? それから立ちキャラの表示がかなりヘン。表示されるべき立ちキャラが表示されなかったり、複数の立ちキャラが重なって表示されてしまったりね。診撚縁などは手に持ったスケッチブックに文字を書いて会話するというキャラなのに、立ちキャラが重なってしまったらなにを喋っているのかまったく分からなくなってしまう。さらにテキストと立ちキャラ、イベントCGが食い違うところが多々見られる。テキストでは制服姿のはずなのに、立ちキャラは白衣を着たままだったりね。最後のトドメがゲームが停止してしまうバグがあること。これは環境にもよるみたいだけど、Sunoの環境ではかなり頻繁にこの現象が発生。攻略チャートを作るつもりだったけど、一通りエンディングを見たところで力尽きてしまいましたよ…。ゲームを購入しても動くかどうかは運次第というのは、とうてい承認できるものではない。こうした不具合はゲーム後半に集中しているので、物語が盛り上がったところで水を差されてしまうことになるし、制作スケジュールが厳しくなってゲーム後半は適当にでっち上げたんじゃないかと勘ぐりたくもなる。
雰囲気やキャラはすごくいいのに、不具合が全てを台無しにしてしまったという典型的なゲームというのが全体を通しての感想。不具合をしっかりと修正する差分が出ればオススメ度は☆4つ。それまではこのゲームを購入するのはギャンブル。ギャンブルをしてもいいという人はどうぞ、という感じかな。
(by Suno)