この青空に約束を−

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離島を舞台にしたラブストーリー

産業の大部分を占めていた大企業の撤退に伴い、過疎が進む離島。その島にある学園に付属するつぐみ寮では、寮生の数が減り、今では主人公と5人の女の子だけが住んでいる。春には廃寮になることが決定しているこの寮に、転校生がやってきた。主人公たちは時には反発しながらも、ドタバタと楽しい毎日を送っていく…。

『パルフェ』などの作品で素晴らしいストーリーを見せてくれたシナリオライター、丸戸史明氏の新作ということで、購入した本作。結論から言えば、期待を裏切らない内容だった。ゲームは序盤が転校生の沢城凛奈が仲間たちに溶け込んでいくまで、中盤が主人公を含めて7人となった寮生たちの楽しい毎日、終盤がキャラ別ルートという構成。序盤から中盤にかけては共通ルートということになるわけだけど、この部分は軽快で明るい雰囲気で物語は進んでいく。ただ明るいだけではなく、1度ゲームをクリアしてから再度プレイすると意味の分かるセリフがあったりして、かなり練り込まれているな、という印象。

©戯画

そして、キャラ別ルートに入ると序盤から中盤とはうってかわってシリアスな物語が展開される。どのキャラのルートも「約束」をテーマにした物語で、ハッキリいって特別なサプライズのない先の展開の読めてしまうストーリー。先の展開が読めてしまうにかかわらず、プレイヤーをぐいぐいと引き込んでしまう展開はさすがと言わざるを得ないね。まさに青春群像劇の王道を行く物語だ。ものすごく青臭い物語なんだけど、心地よい青臭さという感じかな。さらに良かったのが、キャラ別のルートでクライマックスとなるべきシーンが描かれていないこと。舞台となるつぐみ寮は春には廃寮になることが決定しているわけで、当然、物語のクライマックスはつぐみ寮最後の日になるはず。ところが、ほとんどのルートでこの日は描かれていない。プレイヤーはちょっと物足りない感じを受けるはずだ。ところが、一通りエンディングを見ると…。これ以上はネタバレになってしまうから詳しくは書かないけど、かなりジーンとくるシーンが用意されている。このあたりの仕掛けのうまさは素直に脱帽。

システム面でも、非常に快適にプレイできるシステムだ。ゲームシステムはキャラ選択型で、ゲームクリアまでになんども同じイベントを見ることになるんだけど、通常のメッセージスキップに加え、一度見たイベントは次の選択肢まで一気に飛ばすことも出来るので、ストレスを感じたり作業感を感じることはまったくなかった。音声やジョイパッドなどについても細かく設定が可能で、システム面ではほぼ完璧かな。

切なくて、その切なさの中に希望を感じられるような物語が好きという人には是非オススメしたいゲームだね。特に『パルフェ』や『ショコラ』が好きだった人には無条件でオススメできる良作。サブキャラかと思っていた茜を含めて全キャラにエンディングが用意されているのもいいね。非常に完成度の高い物語を楽しむことができるよ。1つだけ気になったのが、生徒会長の朝倉奈緒子の声。奈緒子は1つ年上のキレイな生徒会長と言う役所のはずなんだけど、声だけを聞いていると肝っ玉母さんみたいなんですけど…。決して演技が下手というわけではないんだけど、それだけにこの点だけは気になって仕方なかったなぁ…。

   使い方

攻略

海己、奈緒子、宮穂、静、沙衣里、凛奈の6人のエンディングを見ると、タイトル画面から「約束の日」が選択可能になる。「約束の日」シナリオをクリアした後に、セーブデータをロードして茜エンドを見るとゲームクリア。CGモード、回想モード、イベントモードの全てが100％になっているはずだ。

（by Suno）