Imitation Lover
light | Windows98/Me/2000/XP | 800x600 |
8800円+税 | 1Play9時間 | 属性:学園もの |
難易度:3 | Keyディスク必要 | オススメ:☆☆☆ |
偽りの恋人関係の行き着く先は?
クラスの中でも目立たず、まるで空気のように扱われている来栖樹。そんな樹に声を掛けてきたのが、学園の有名人、一之瀬響だった。響は5000円でウリをしているとか、ドラッグに手を出しているなどという噂のある、悪い意味での有名人。そんな響がテストでのカンニングを持ちかけてきたのだ。カンニングの報酬は響の処女。響が処女のわけがないと思い、カンニングを引き受けた樹だったが…。
ゲームはコマンド選択型のAVGで、特別に変わったギミックはナシ。メッセージスキップ等、必要と思われるものは一通り装備しているので、快適にプレイ可能だ。一応、修正差分は出ているけど、これは特定のビデオカードでの表示の乱れを修正するもののようで、それほど大きな問題ではないだろうしね。選択肢は結果が想像しやすいものばかりで、1プレイ中に10前後しか出てこないこともあって難易度は低い。
メーカーの公式HPを見ると、攻略可能ヒロインは一之瀬響、響の親友で後輩の園村円香、学園のマドンナ的先輩の桐沢伊織の3人に見える。だけど、実は伊織は攻略不可能。というより、伊織ルートは単なるバッドエンドだったりする。ややネタバレ気味になってしまうけど、一通りエンディングを見ると樹の友人である城戸尚也視点でのプレイが可能になり、このルートでヒロインとなるのが伊織だったりするのだ。これは寝取られとはちょっと違うけど、伊織目当てでゲームを購入するとかなりショックを受けてしまうと思うので要注意。
©light
物語は関係を持ってしまった樹と響が、ある事件をきっかけに偽りの恋人となるという感じで進んでいく。全体的な感想としては、ヒロインの心理描写が弱いなぁとう印象。このゲームのメインヒロインは響ということになるんだけど、円香や伊織は女のコ視点でのモノローグが入って心情が描写されるのに対し、響はそういったものが一切無い。このゲームは複数のライターがシナリオを書いているようなので、そのあたりが影響しているのかもしれないけど、メインヒロインである響がなにを考えているかプレイヤーに伝わらないというのは、マイナスだったのでは? ゲーム中盤では響のかわいらしさがしっかりと描かれていただけに、ゲーム後半で響の心情がしっかりと描写されていたらもっと感情移入できたと思うんだけどね。
さらにプレイヤーの感情移入をスポイルしてくれるのが、とことんネガティブな主人公。樹という主人公はどんなことでも悪い方へ悪い方へと考えてしまうし、最後には問題を人のせいにして開き直ってしまうという性格なので、物語の爽快感が全くなし。Hシーンでもネガティブなモノローグが延々と続くので、実用性という部分でもちょっと厳しい。樹ルートでは最後に男らしさを見せてくれるからまだいいとしても、円香ルートではとことんヘタレたまま。その割にラストはエロゲー的都合主義の展開になったり。なんというか、キャラ設定とシナリオをまとめきれていないという感じだね。キャラの性格という点では円香が二面性があるというか、裏ではかなりドロドロしたところのあるキャラなので、この点も好みが分かれてしまいそうだ。
個人的には響目当てでのプレイだったので、まあ満足ということでオススメ度は☆3つとしたけど、響以外のキャラが目的だとちょっとがっかりする内容のゲームかも。扱っているテーマそのものは悪くないし、CGのクオリティは高いわけだから描き方しだいでは名作にもなり得たと思うだけにかなりもったいない作品だなぁ…というのがプレイを終わっての感想。とりあえず、ネガティブな主人公が平気で、響が好きならプレイしても損はないんじゃないかな。
(by Suno)