ゴア・スクリーミング・ショウ
Black Cyc | Windows98/Me/2000/XP | 800x600 |
8800円+税 | 1Play6時間 | 属性:オカルト、グロテスク |
難易度:5 | Keyディスク不要 | オススメ:☆☆☆☆ |
少女との出会いが日常を変貌させていく…
両親が渡米することになり、3年ぶりに生まれ故郷の田舎町に帰ってきた主人公。そこで主人公が再会する3人の少女たち。町は3年の間に変わった部分もあったが、ごく平凡な日常が始まるはずだった。だが、ユカと名乗る少女と出会ったことで、平凡な日常は狂気と絶望に彩られた非日常へと変貌していく…。主人公は大切な少女と共に、日常を取り戻すことができるのか…?
ゲームはコマンド選択型のAVGで、選択肢を選ぶと誰の好感度が上昇したのかがハートマークによって分かるようになっているので、難易度はそれほど高くない。Black Cycは『闇の声』シリーズなどのようにゲーム性の高い作品をリリースしてきたメーカーだけど、このゲームは明らかにシナリオ重視。これは単に方向性の違いでどちらが正しいということはないけど、これまでのBlack Cycのゲーム性が好きだったという人は注意した方がいいかも。
そして、Black Cycのもう1つの特徴がグロテスクな残虐表現。こちらはこの作品でも健在。とはいっても、CGのヤバイ部分にはモザイクがかかっているし、ゲームの設定で表現をマイルドにすることもできるので、思ったよりは大人しいというのがプレイしての感想。まあ、グロがあると覚悟してプレイしていたというのが1番大きいのかもしれないけどね。とりあえず、残酷な表現は一切許せない! という人以外ならOKでしょう。
©Black Cyc
肝心のストーリーはなかなかの出来。ゲーム序盤は学園恋愛AVGっぽいノリで、ユカと出会ったことで徐々に日常が狂っていくという感じが良く出ている。ストーリー上、ヒロインが輪姦されたり血みどろに…というシーンもあるけど、そういうシーンはバッドエンドルートに集中していて、ハッピーエンドルートには存在しないのもいい感じ。ハッピーエンドは本当にハッピーエンドらしい、スッキリした終わり方になっている。特にトゥルーエンドは切なくて、キレイなエンディングだね。まあ、そのぶんバッドエンドルートに入ってしまうと、とことん悲惨なことになるわけだけど…。このあたりのメリハリにつけたはうまい。ゲーム的には特定のエンディングを見ると新しい選択肢が出現して、新しいルートに入れるようになるというシステムになっているんだけど、繰り返しプレイするたびに物語の謎が解き明かされていくので、繰り返しプレイのするのが全く苦にならず、最後まで一気にプレイできた。
ゲームをコンプリートして気になったのが、ヒロイン3人組の影が薄いこと。キャラクター的には素直になれない幼なじみ、物静かで変わった雰囲気を持つクラスメイト、清楚なお嬢様とプレイヤーのツボにはまるであろうキャラが揃っているにもかかわらず、ゲームをクリアしてみるとあまり印象に残っていない。これはこのゲームが過去に悲劇があり、現在にも同じ構図があって悲劇が繰り返されるという構造になっているのが原因ではないかと。ゲーム終盤では過去に起こった悲劇を明らかにする必要があるわけで、それが原因で過去の事件がスポットライトを浴びることになり、現在のキャラクターたちの影が薄くなってしまったのでは? もちろん、過去と現在を対比させるという構造自体は全く問題ないし、物語も十分以上に面白いんだけど、せっかくのキャラクターの存在感が薄くなってしまったのはちょっともったいなかったなぁ…。その反面、ユカや主人公の保護者である闇子の存在感は抜群で、この2人が好きな人ならストーリー的にもキャラクター的にも大満足なんだろうけどね。
多少気になる点がないわけではないけど、Black Cycらしい血と狂気に溢れた物語を楽しめる良作であることは確か。というわけでオススメ度は☆4つ。プレイヤーを突き放すような難易度の高さもなくなったので、グロテスクなものに拒絶反応を示す人以外ならオススメできる作品だ。
(by Suno)