そらうた
FrontWing | Windows98/Me/2000/XP | 640x480 |
8800円+税 | 1Play約6時間(音声オン時で約8時間) | 属性:純愛、幽霊 |
難易度:6 | Keyディスク必要 | オススメ:☆☆☆☆ |
田舎町で繰り広げるちょっと不思議なラブストーリー
©FrontWing
幼いころ事故にあい、両親を亡くした主人公は、そのショックで幽霊が見えるようになってしまう。そんな主人公をやさしく受け止めてくれた従姉の霊子。その後、主人公は叔父に引き取られ、霊子と姉弟となった。それから10年後。主人公は夏休みを迎え、霊子や幼なじみの知夏たちと楽しい毎日を過ごしていた。しかし、幼いころから幽霊を見続けてきたためか、主人公の心は激しく震えることがなくなっていた。それは大好きだった祖母の死に際しても同じだった。そのことが堪らなくて涙する主人公。さらに、翌日目を覚ますと、霊子が置き手紙を残して姿を消していた……。
まず、システム面で問題あり。ゲームはコマンド選択型AVGで、プレイする上で必要なものは一通り搭載している。メッセージスキップがやや遅いような気はするけど、まあ許容範囲内。ここまではいい。問題はゲーム起動時のディスクチェック。このゲームでは毎回起動時にディスクチェックが入る。これは面倒ではあるけれども、やむを得ないだろう。ところが、ディスクなしでもゲームは起動してしまうのだ。そして、1度でもディスクなしでゲームを起動してしまうと、次回からはたとえディスクを入れても正常にプレイすることができなくなってしまう。ゲームを再インストールしてもダメ。ゲームをアンインストールして、『そらうた』に関連するファイルを手動で削除した上で、ゲームをインストールし直さなければならないのだ。これはなにかの嫌がらせですか? エクスプローラからのファイル操作に慣れていないプレイヤーもいるわけで、この部分は改善の余地あり。
いきなり文句をつけてしまったけれど、ストーリーは非常に良質。かなり長いプロローグが終わり、主人公が学園に通い始めると本編スタート。始業式で学園で死んだ女のコ、真奈の幽霊と出会い、彼女の死の真相を巡って物語は展開していくのだが、前半ではコミカルでほのぼのとした毎日が描かれ、後半ではシリアスで切ない展開が待っている。なんといってもすばらしいのがキャラの心理描写。明るく、前向きなキャラが多いが、その裏には苦しい想いを隠している…というのがしっかり描かれている。エンディングも大団円といえるものは少なく、どこかもの悲しい、だけどちゃんと救いのあるものばかり。はっきり言ってお約束の展開が多く、先が読めてしまうことも少なくないのだが、それでもなおプレイヤーを引き込んでいくシナリオはお見事。
シナリオ面では、複線の使い方もかなり上手く感じる。このゲームでは1人のキャラのシナリオですべての謎が解き明かされるということはなく、すべてのキャラをクリアして初めて、物語の全体像が見えてくるようになっている。全体像を見て「あのイベントは、ここの複線になっていたのか」と気がつくことあり、ゲーム全体としてシナリオがしっかりと構成されているのだ。
なお、このゲームをプレイするときは、一通りクリアしたら必ず最初からプレイすること。途中のセーブデータからプレイしていると、最も重要な、真の結末を知ることができるシナリオにはいることができなくなってしまう。そのシナリオをプレイしないと、ひどく中途半端で、消化不良なシナリオに感じてしまうはずなので気をつけよう。
(by Suno)