幻燐の姫将軍II 導かれし魂の系譜
エウシュリー | Windows98/Me/2000/XP | 800x600 |
8800円+税 | 1Play約30時間(音声オン時で約35時間) | 属性:ファンタジー |
難易度:9 | Keyディスク必要 | オススメ:☆☆☆☆ |
壮大なスケールの戦略SLG
©エウシュリー
魔族の血を引く半魔人として生を受けたリウイは、人間族の勇者の謀略によって両親を失った。その復讐を追えてから4年。魔族とさげすまれるリウイが王となったメンフィル王国は諸国と対立し、国境を封鎖されてしまう。側近たちの努力により封鎖は解除され、和平の会議が開かれることになるが、その席で何者かによって宮廷魔術師が殺害され、リウイはその罪を着せられてしまう……。
『幻燐の姫将軍』の続編。『幻燐の姫将軍』は選択によって2つのエンディングに分岐したが、本作はその中でイリーナエンドのその後を描いたものとなっている。ストーリー的には完全な続き物なので、前作を知らないとストーリーを理解できないが、前作のダイジェスト版が同梱されているので、『幻燐の姫将軍』をプレイしていなくても問題なし。ダイジェスト版とはいっても、オリジナルCGが使われていたりして、なかなか楽しめる内容。こういった気配りはとてもうれしいもので、ほかのメーカーにも見習ってほしいところ。
ゲームはシミュレーションRPGとなっているが、前作と比べてボリュームは大幅にアップ。前作も大作というにふさわしいスケールの作品だったが、今作はそれをさらに上回る。エウシュリーは「大鑑巨砲主義」を掲げているブランドだが、そのキャッチフレーズにふさわしい内容。そしてゲームバランスも絶妙。今作から攻撃範囲の概念が導入されたので、しっかりと考えてユニットを配置していかないと大切なキャラが次々に戦死…というハメになってしまう。さらに、一度死んだキャラに原則として復活することがないのもリアル。また、自軍のレベルにあわせて敵の強さが変化するので、緊張感のある戦闘を楽しめる。ただ、このシステムにはデメリットもあって、1回目のプレイで味方にならなかったキャラはレベルが上がっていないので、2回目のプレイで使い物にならないという事態が発生してしまうのだ。また、ある特定キャラのレベルが上がっていないとクリアできないマップが存在する(修正差分である程度補正されるみたいだけど……)。このあたりをもうちょっと考えてバランス取りをしてもらえたら完璧だったのだが……。
システム面ではマウス以外にゲームパッド、キーボードに完全対応。プレイ時間の長いゲームは、ちょっとした操作性の違いが大きなストレスになりかねないだけに、こうした配慮はうれしい点だ。キーコンフィグなども自由にカスタマイズできるので、操作性に関しては完璧といっていいだろう。
ストーリーはプレイヤーの選択によって大きく純愛のロウルートと鬼畜のカオスルートに分かれる。純愛と鬼畜の両方を1本の作品で矛盾なく楽しめるわけで、この点はナイス。ただ、カオスルートに入ってしまうと、ほとんどのキャラがハーレム入りすることになってしまい、戦闘ユニットとして使えなくなってしまうのはいかがなものか? ハーレムで陵辱しつつ、脅迫して戦闘にも参加させるという風にすれば、もっとストーリーの幅が広がったと思うのだが。もっとも、そんなことをしなくてもストーリーは壮大という言葉がふさわしいもの。CGも差分なしで176枚、差分を含めると509枚、Hシーン数は90という大ボリューム。すべてを回収するのはかなりの根気が必要。ただ、登場キャラがかなり多く、育成可能キャラだけで40人以上となっているため、1人1人の描写はちょっと薄め。ストーリー的な萌え要素は少ないかも……。
オススメ度は☆4つとしたが、これはエウシュリーならもっとすばらしいゲームを作れるはずという期待を込めてのもの。内容的には満点をつけてもいいほどの内容。前作で明かされなかった謎もすっきりと解消されているので、前作をプレイした人はぜひプレイしてほしい。それ以外でもじっくりとゲームを楽しみたいという人に最適な作品だ。
(by Suno)