空を飛ぶ、3つの方法。

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へっぽこテロリストの要求は空を飛ぶこと

©La'cryma

夏休みを間近に控えたある日、主人公の通う学園はオモチャの兵隊に占拠されてしまった。犯人は「鳥井かりん」と名乗るへっぽこテロリスト。かりんの要求は、空を飛ぶ3つめの方法を探すこと。1カ月以内に空を飛ぶ方法を見つけないと、大変なことになるというのだが……。お人好しな主人公と仲間たちは、かりんのために不可能とも思えることに挑戦することになるのだった。

最初に言ってしまうと、この作品は非常に評価の分れるゲームだと思う。まず、ゲームの出だしからして、まさに超展開。この物語の世界は、現実世界とほぼ同じリアル路線のもの。なのに、学園がオモチャの兵隊に占拠され、さらに認識阻害フィールドによって主人公たち以外には学園が認識できなくなっているという設定だ。さらに、主人公のポケットからおでんが出てきたり、花蓮は学園の屋上から落ちてもかすり傷一つ負わない。もちろん、このゲームがバカゲーならばこうした設定もアリだろう。だけど、このゲームはリアル路線の世界観のゲームであり、シナリオも基本的にはシリアスなもの。そういう作品に、こうしたバカゲーノリは合わない気がする。この時点で物語について行けなくなるプレイヤーもいそうだ。

そして、この超展開はエンディングまで続いていく。物語のラストは強引というか、ご都合主義なもの。友情と愛さえあれば、どんな奇跡でも起こせるさ！　というノリなので、やっぱり取り残されてポカーンとしてしまうプレイヤーも出てくるんじゃないかな。ネタバレになってしまうから詳しくは書かないけど、ラストで理解不能な設定や矛盾点がいくつも出てくるので、この点も気になる人はかなり気になりそうだ。そして、物語全般が漫画、アニメ、他のゲームなどのパロディのオンパレード。パロディが悪いと言うつもりはないけど、パロディだけで物語が進んでいくとなると、引いてしまう人も多いんじゃないだろうか。

©La'cryma

だけど、基本的なテーマやストーリーは、決して悪いものではないというのも確かだろう。このゲームはヒロインごとにストーリーの用意されたマルチエンドになっているわけだけど、グランドエンドではそうした複数のエンディングがキレイに1つにまとまっているし、ヒロインたちのキャラも立っている。Ｈシーンに関しても、純愛モノとしては尺が長めで、実用に耐えるものだ。CG枚数も差分抜きで100枚以上あり、コストパフォーマンスも上々。超展開や設定の矛盾をスルーできる人は、こうした点を評価して面白いゲームだということになるだろうし、スルーできない人は受け入れることはできないということになってしまうんじゃないかな。

残念ながら、個人的には超展開や設定の矛盾が非常に気になってしまったので、オススメ度は☆2つとした。反対にこうした部分を気にしない人なら、☆4つになるかもしれない。せめて設定に矛盾が出ないように、物語をもっと煮詰めてくれれば、一般受けするようになったと思うんだけどねぇ……。あと、できれば相楽麻衣子のルートも欲しかった。麻衣子はヒロインキャラを食ってしまうくらいの個性があり、物語の中でも大活躍するキャラなのだから、きちんとしたルートがあっても良かったと思うんだけどね。とりあえず、あまり深く考えずに、素直に物語を楽しむという人にオススメかな。

   使い方

攻略

初回プレイで攻略できるのは雲呑深空、嵩立静香、鈴白灯、姫野王寺花蓮の4人。深空だけはエンディングが2つあるので、必ず両方を回収しておくこと。そして、深空エンド1を見ると、カリンルートに入ることができるようになる。かりんルートに入るためには、タイトル画面から「空を飛ぶ、3つの方法。」を選択すればOK。

攻略とは直接関係ないが、このゲームでは選択肢が出てくるとセーブができないように見える。だけど、クイックセーブのアイコンの上で右クリックすればセーブができるようになる。なぜ、こんな分かりにくい仕様にしたんだろう？

（by Suno）