えむぴぃMaid promotion master

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逃げてきた先に待っていたのは5人のメイド

主人公の仕事は「人に不幸を伝える」こと。多くの人に不幸を伝えてきた主人公だったが、ある日、自分に不幸が訪れることを知ってしまう。主人公は不幸から逃れるために仕事を辞め、見知らぬ土地へと逃げ出す。ところが、退職金を使って借りた家で待っていたのは5人のメイド。主人公が借りた家は、メイド候補生の実地研修の場所でもあったのだ。思いもかけずメイド育成師になった主人公の、ドタバタの毎日が始まった。

©ぱれっと

プレイ前は「主人公は貧乏神みたいなもの？　しだいに主人公の正体が明らかになって、葛藤と苦悩があって、メイドとのふれあいによって癒されていくというような物語なのか？」と思っていたわけですよ。だけど、このゲームには葛藤も苦悩もまったくナシ。主人公の正体も不明のまま。とにかく最初から最後までドタバタの連続。ハッキリ言って、ストーリーなんてあってないようなもの。エンディングはどのキャラのものも代わり映えしないし。主人公がイタズラをしてヒロインにぶっ飛ばされる、ヒロイン同士が主人公を奪い合って大騒ぎをするというようなシチュエーションのオンパレード。単調と言えば単調なんだけど、これがやたらとテンションが高くて楽しい。しかも、ゲームが進むに従ってどんどんテンションが上がっていくのが素晴らしいね。ゲーム後半にシリアスな場面を入れようとして、終盤が尻すぼみなってしまうゲームも少なくないけど、このゲームはラストシーンまでテンションを維持しているからね。どのキャラも主人公に対して真っ直ぐに好きだという気持ちをぶつけてくるのも好感度高し。

そして、コミカルさやテンションの高さを維持する上で、重要な役割を果たしているのが音声。実績のある声優を採用したということもあって、どのキャラもイメージにあっていて凄くいい感じになっている。このゲームは画面下にカコミがあり、そのカコミ内にテキストが表示されるというごく一般的なAVG形式のゲーム画面なんだけど、テキストに音声が付いているのは当然として、その後ろでテキストにない台詞が延々と流れているのがポイントが高い。あるキャラが喋っている後ろで、別のキャラがブツブツ言っているのが聞こえるわけだ。この音声が入っていることでみんなでワイワイやっている感じがよく表現されているんだよね。正直に言えば、テキストはそれほどレベルが高いとは思わなかったんだけど、声優陣の熱演によってこれが笑えるものになっている。もし音声がなかったとしたら、確実にオススメ度は☆1つマイナスになっていただろう。音声の威力って凄いんだなぁ、と再認識した次第。

だけど、誰にでも勧められるゲームかというと疑問が残る。というのも、このゲームの主人公が変態だから。このゲームの主人公は重度の聖水マニアだったりするのだ。しかもこの主人公がヒロインに負けず劣らずテンションが高い。さらに「咽び泣くぅ〜」、「先っちょからでそぅ〜」という独特の台詞回しも気になる人は相当気になるはず。もちろん、エロゲーなんだから聖水に拘るというのならそれもアリだと思うし、実際にしぃしーに拘ったゲームというのも過去に存在した。だけど、このゲームの場合、Ｈシーンはごくノーマルなものになっていて、この拘りがCGにまったく反映されていないのがイタイ。これではいったいなにをしたかったのか意味不明。主人公が「人に不幸を伝える」仕事をしていたという設定もそうだけど、なんでこんな主人公にしたんだろう？　もっと普通の主人公にすれば、もっと一般受けするようになったと思うんだけどなぁ。

©ぱれっと

なお、ゲーム自体はマップ移動式のAVG。マップにはチップキャラが表示されているので、どこに行けば誰に会えるのか一目瞭然というシステム。そのほか、必要と思われるシステムは一通り装備されているので、プレイしていてストレスを感じることはないんじゃないかな。マップ画面でクイックセーブができないのが気になるといえば気になるけど、通常のセーブはいつでも可能なので、大きな問題ではないね。

良くも悪くも突き抜けたゲームで、激しく人を選ぶゲームだろう。ノリについて行けない人は完全に取り残されて、ひたすら疎外感を感じ続けることになるのは確実。逆にノリが合う人は最後まで楽しめるはず。CGは文句なくキレイだし、画面効果などのエフェクトも丁寧に作り込まれているので、変態主人公に抵抗がないという人は是非プレイしてもらいたいゲームだね。

（by Suno）