TACTICSBRIDタクティクスブリッド
BLIP | Windows98/Me/2000/XP | 800x600 |
8800円+税 | 1Play16時間 | 属性:戦術SLG、純愛 |
難易度:8 | 2006/5/26発売 | オススメ:☆☆☆ |
本格的戦術SLGが楽しめる
突如として起こった核戦争により、世界の人口は10億人程度にまで激減してしまった。生き残った人々はかつての大国を中心に、U.W.G(統合世界政府)を発足しその勢力を広げていった。しかし、核戦争の原因となった大国に反感を持つものは多く、そういった人々が集まってイコン・ガザ共同体を作り上げた。事実上世界は2つの勢力によって支配されることになる。U.W.Gはあくまでも世界の救済を目的とし、大戦前の軍事力を持つのみ。一方のイコン・ガザ共同体は自分たちの世界支配のために新兵器を開発し、U.W.Gに戦争を仕掛けてきた。その際に利用されたのがPM(パワードムーバ)と呼ばれる人型の二足歩行機械歩兵だ。イコン・ガザに対抗するには同じ兵器を運用するしかないと考え、U.W.GはPMを捕獲、研究して独自のPMを作り上げた。このPMの制御は脳内伝達神経によって行われるため、それに適合する人間は1000人に1人とされ、特に女性の方が適合性が高いという。主人公の秋山龍之介は非常に希な男性のPMパイロットとして、第701PM実験中隊の中隊長として現地に赴くのだが……。
なかなか深いバックグランドを持つ物語で、ゲーム内容の方はこういった背景でPMをユニットとして操って進めていくターン制の戦術SLGだ。パイロットとなるヒロインたちそれぞれに得意分野があり、機体や装備の選択をして戦いに挑んでいく。少々乱暴な言い方をしてしまえば、この手のSLGの定番的な内容とも言える。機体や装備などは物語が進むと増えていくし、キャラたちにはレベルはないが戦闘によって経験を積むことで成長していく。成長も得意な武器レンジと移動速度、それぞれのPM搭乗時のHP補正など育成要素もある。補正値などはキャラの個性を体現してるので、見た目のイメージで活躍させて問題ないかも。
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戦闘の合間には当然ながら女の子たちとの触れ合いがあり、最初は邪魔者扱いされていた主人公が徐々に認められていくという流れ。ヒロインは基本6人で後半もう1人加わる。会話時の選択肢は少ないだけに重要な分岐となる。といっても、物語の流れ自体はほぼ一緒で、誰とのエンディングになるか、という意味での分岐だ。ただし、エンディングを決めるのは選択肢だけではなく、戦闘の成績が非常に大きな比重を占めているため、コツが分からないと全員分見るのは結構苦労する。
本編は11エピソードからなっており、これとは別に外伝が2本用意されている。実質13エピソードと見て良いだろう。外伝の位置づけは会話の感じからして本編の中盤以降、龍之介がみんなに認められてからくらいだろうか。本編を解かなくてもできるが、内容的にも本編後にやったほうがいい。当然CGも結構あるのできっちりやっておきたいところ。全体的に戦闘の難易度が比較的高いため、初心者モードというのも本編外伝ともに用意されてるが、ノーマルモードじゃないと見られないCGがあるため初心者用は練習用か。
さて、イベントについてだが、これが思ったよりも多い。でも、序盤は龍之介がうち解けてないせいか、さっくり先に進んでいく。中盤くらいから徐々ヒロインたちと仲良くなりエッチも増えてくるので、会話モードも長くなっていく。総CG枚数からいえば結構な数になるが、これはエピソードのタイトル画面やミッションクリア画面もカウントされてるからだ。といっても、それぞれのヒロインとのイベントCGも多いので、その点は特に不満無しかな。個人的にはこの手の戦争物にありがちな捕虜になって陵辱ってのがあったので、ちょっとその点は期待通りで良かったかな。まぁ寸止めだけど。ミッション失敗でもそういうのあったらもっと良かったんだけど。
全体的に良くまとまってるし、非常にいい姿勢で作っているのは伝わるが、やっぱりこの手のSLGは気になる点も多い。まず、初心者モードがあるといっても、少々戦闘の難易度が高いのではないだろうか。CGのことを考えたらどっちみちノーマルをやらないとならない。最初のマップが練習用みたいな位置づけらしいが、龍之介はいきなり故障で操作できないし、これとは別に練習マップがあっても良さそうなもの。それに装備機体の選択はできるが、初期配置は自動なので戦闘の進め方というか正解がほぼ一つになる。マップによってはこう動かないと絶対無理ってのもあるので、そうなるとSLGってよりもパズルに近い感覚に思う。思ったより自由度低いなぁ…と思ったところだ。
あとターン制に付き物なのが、敵ユニットが多いと待ち時間が結構だれること。また、「マシンパワー低いとこれ(敵ユニットの移動)時間かかるだろうなぁ……」とか思った。ターンだと戦闘自体よく考えてじっくりやるものなので、ユニットが多い時の待ち時間ってのが慣れてくると結構気になるもの。特にキャラクリアって観点からゲームを見ると、戦闘部分が何度もやってると作業になる。成績が分岐に関わるとなれば尚更きつい。弱いキャラにいい成績を取らせるために、勝つだけよりもいっそう時間がかかる訳だ。途中物語の流れも変わるなら若干作業感も薄れるが、最後が変わるだけと言えるのでそれで同じ戦闘を繰り返すのも苦痛かもしれない。それと、突如選択肢が出てくるのは覚えておけばいいとして、セーブできるのが戦闘中と戦闘前後ってのも厳しい。選択肢でCGが変わるので、マメにセーブしてない場合別の見ようと思ったら、戦闘前まで戻って……とかってなる。これはせめて会話モード時に自由にセーブできるようにして欲しかったとこだ。あともう一つ、イベントのCGが多いのは良いけど、だんだんキャラの顔崩れていくように見えるのは気のせいかなぁ。キャラが結構気に入っただけにかなり気になった点だったな。
まぁ不満はあるにしても、ゲームとしてのデキは良好だとは思う。本格的SLGを楽しみたいって人には割りかしお勧めできるかも。もっとも、本格的SLGという視点だとマップが20個以上あってもよさそうだけど。ただ、間違いなくお手軽お気楽に解けるものではないので、興味を持ってもその点注意したいところ。個人的には世界観とかキャラやメカのデザインとか良さそうだったし、ゲームもしっかり作ってあるのでそこそこ気に入ってる。できれば、細かい点を改善した次回作に期待したいところだ。あと最後に一言。こういうのって属性何かなぁっての結構困る。キャラの性質からしてツンデレとか妹系とか巫女だとか、当てはまるものが多いので共通してるものってことでひとつ。
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(by Norn)