魔法が世界を救います!
Anastasia | Windows98/Me/2000/XP | 800x600 |
3800円+税 | 1Play14時間 | 属性:ファンタジー |
難易度:4 | 2006/5/26発売 | オススメ:☆☆ |
真の英雄になることはできるか!?
世界を救うために戦った魔法使いたち。戦いの末に倒れた師の遺言を守るため、師の娘たちを守ろうと彼女らの住む町への列車に乗っていたクロイツ。偶然にも相席した姉妹が師の娘たちであることに驚いていると、列車のハイジャックに遭遇してしまった。5人の覆面の犯人たちを倒したクロイツだが、魔法使いであることが師の長女であるフローラにバレてしまった。師に魔法は使えない身体になっているからといわれていた忠告を無視して魔法を使ってしまったクロイツは、フローラを助けたあと吐血して気を失ってしまう。なりゆきから魔法使いなら楽に稼げそうとかいうフローラの師匠となって魔法を教えていくことになってしまったのだが……。
©Anastasia
魔法を教えることになったワガママ自己中な姉のフローラ。彼女は天才的な魔法の才能を持っているようだが師匠の話を聞かない困った娘という感じ。その妹のティーアは気配り上手なやさしい娘さんで姉よりもスタイルよしだが、実はクロイツのことが……。姉妹以外では、クロイツたちとともに捜査活動をするリカや金がすべてという暴走商人のミーツ、街を騒がしているおバカなはぐれ魔法使いのアンジェラなどがストーリーを盛り上げてくれる。フローラの行きつけの食堂の女主人マリアは意外なところでハラハラさせられるかもしれない。主人公のクロイツはいじられキャラとなっていて遊ばれています。ヒロインたちにもシナリオライターにも……。
世界を影から守っている魔法使いたちの話で、未熟な魔法使いである主人公が師の娘フローラを一人前の魔法使いに育て上げようというストーリー構成です。フローラを教えているうちに自らの未熟さを悟って己自身も成長していくという師弟のお話が中心にあります。全12章となかなかボリュームがあり、1回目のプレイは運にもよりますがおそらく12〜15時間コースになるのではないでしょうか? 師から託された任務の重要さを知らずに落ち込んで腐っている主人公と、わがままで師を師とも思わぬ扱い(使用人扱い)をするフローラの関係の変化が見どころ。彼女のルートに入ったときにはいきなり唐突にイベントが起こったように感じられましたけど。価格帯の割に設定が壮大でしっかり作り込まれているので、ファンタジーものが好きな人は楽しめるんじゃないかと思う。男嫌いで触れるのさえ嫌がっていたリカがクロイツに尽くすようになるさまはなかなかに美味しいですね。ただ、アンジェラのルートはかなり微妙なところ。クロイツと結ばれたあとも敵対するというのが「ええぇぇー」って感じる人も多いと思う。
困ったことに、本作の戦闘シーンはルーレットをまわしての戦いであり、結果はほとんど運次第。たいていは負けても先に進めるが、勝たねばならないシーンなどはかなり時間を取られて結構面倒だ。戦闘が長引くとストーリーのテンポのよさが台無しになってしまう。こういうシステムを面倒くさいと思う人は買ってはいけないソフトだろう。いきなりユーザーを選ぶ作りになっているんだけど、もっと戸口は広く開けたほうがいいんじゃないのかな? 個人的にはこのシステムはどこにも面白味を感じず、ただただ苦痛なだけでした。途中で何度も挫折しかけましたし、ストレスが溜まってまいりましたよ。よほど時間のある人しかターゲットにしていないんだろうなという印象です。もしくはMなプレイヤーをマーケティング対象にしているんでしょうか。幅広く一般向けとはとうてい思えませぬ。単純に運でハマるようなのは個人的にクソゲー認定モノです。全然勝てずに長時間ハマるのなんてイヤでしょ? そんな状態になったらユーザーはぶち切れですよ。マウスを何度投げそうになったことか……。ゲームをプレイする目的には、理不尽な苦労をしたいなんていうのはないはずだ。ゲーム性という面をみても、ランダムに左右されるというのはそもそもゲーム性とはいえないのだからゲーム性重視というのには当てはまらない。ラスボスとナスはマジでバランスが厳しすぎです。
また、本作で最悪なのは攻撃を反射するアイテムの存在で、攻撃反射時に1/3の確率で壊れるらしいのだが、敵がそれを使ったときにはこちらの攻撃が19回連続跳ね返されてようやく壊せたという絶叫的ランダム結果となったことがあった。こんなバランスは話になりませんね。乱数なんて偏った結果が出ることがあるのはプログラマーはわかっているだろうに、なぜに救済策を用意していないのだろうか? プログラマーとシステムデザインをしている人との間で会話がないのですかね? 理不尽ともいうべき最悪の結果が続いた場合にプレイヤーのイライラを抑えるために、確率の2倍ぐらいおかしな結果が続いたら乱数の結果を無視してアイテムの強制破壊処理をするといった配慮をしておくべきものなのだが……。まあ、戦闘が必須なのは初回プレイだけなので、理不尽な結果になる可能性があることを我慢できるならば問題なしです。
なんといいますか、戦闘シーン以外ではよくできているだけにすごくもったいないかな。ゲームデザインをした人は育成シーンで頑張れば戦闘も大丈夫だとか思っていたのかもしれないが、育成もルーレットでほとんど運次第という感じだし。ルーレットという運頼みなんかにしたばかりに不満を感じるユーザーを増やしているんじゃないかと思う。次回作以降ではこのようなことにならないよう願いたいですね。はっきりいってこのシステムならば、普通のビジュアルノベルのほうが断然よかったのではないかと。ゲームのシステムデザインがダメダメでセンスがないと思う。料理でいうと、よくできていたのに最後の仕上げのスパイスを間違えちゃったという感じかな?
セーブは最大40個利用可能なのでこの点で困ることはないでしょう。登録されるCGは69、回想は20とかなり気合いの入った作りとなっています。ボリューム面では問題がないといっても大丈夫そうかな。システム面では右クリックに何の機能も割り当てられていないのがもったいないかも。メッセージウインドウ消去にでもしておけばいいと思うんだけどなぁ。あと、自分はプレイしていて1度だけ謎現象に遭遇したことも記しておきます。アンジェラルート確定で、もうアンジェラとバカップルモードになっているのに、スタッフロール後になぜかフローラのエンディングとなったという……。直前のデータをロードして再度スタッフロールを見たらアンジェラエンディングになったから結果的にはコンプリートできたけど、あれはなんだったのだろう?
ひたすらランダムということを我慢できる人にならばお薦めな作品です。☆☆+という微妙なお薦め度ぐらい。日頃から自分は運が悪いと感じている人にはお薦めできません。最初のプレイから戦闘をスキップできるセーブデータをメーカーが公開してくれないですかねぇ……。それならばそのデータを使うこと前提でお薦め度は☆☆☆☆-ぐらいかも。なお、マニュアルは写真のように1枚の紙を折ったものでやや寂しい感じです。低価格路線の作品だから仕方がないとはいえ、マニュアルに豪華さを期待したい人には残念かもしれませんね。
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攻略のアドバイス
このゲームはルーレットという確実性のないものに大きく左右されるため、初めてのプレイでは非常に厳しく感じられる。だが実は2周目以降は能力や残っているアイテムが引き継がれるという、何回も繰り返しプレイすることが前提のタイプであるため、初回プレイはゲームに慣れるためにそこそこ適度にシステムを把握する感じでプレイしていくとよい。目指すは誰のルートにも入らないバッドエンドがよいと思う。戦闘によく負けていると到達するはずだ。勝たなければ先に進めない戦闘以外は全部負けても構わない感じでプレイすればよい。CGはないが回想モードに登録されるため、コンプリートを目指すならばどこかで一度は見ないといけないから初回プレイ時に見るのが効率的にみてよいだろう。2周目からは戦闘の勝ち負けも選べるので、プレイ時間も短くなる。誰に会うかの移動場所選択は誰がどこにいるのかがほぼ固定なのでそう難しいこともない。タイトル画面の補足説明に攻略ヒントがあるので、それに従って攻略したい相手に会うようにすればクリアは難しくないだろう。
(by 天城螢)