蠅声の王[サバエノオウ]
Lost Script | Windows98/Me/2000/XP | 800x600 |
8800円+税 | 1Play24時間以上 | 属性:吸血鬼、オカルト、ノベル |
難易度:6 | 2006/4/28発売 | オススメ:☆☆☆ |
ゲームブックをパソコンで楽しむ感覚のソフト
このゲームは、「デジタライズド・ゲームブック」と名付けられた、ユニークなシステムを採用した新ジャンルのソフトだ。ダイスを振りながら物語を読み進めていくゲームブックを、パソコンで楽しめるようにアレンジした作品、と言う表現が一番近いだろうか? プレイヤーはハンターEsたちの視点で物語を読み進め、最強の吸血鬼クリストフェル(通称蠅声の王)に戦いを挑むことになる。超人的な強さのハンターEsが、いかんなく実力を発揮できるか否かはプレイヤーの判断力と運(ダイスの目)しだい。はたして、吸血鬼たちを滅ぼすことができるだろうか?
まず、結論から言ってしまうと、このゲームは好き嫌いがハッキリ分かれてしまうシステムだと思う。というのは、主人公たちの体力を用紙にメモし、冒険中に受けたダメージの算出などはプレイヤー任せ。戦闘の勝敗、罠の解除の成否などはパソコンが自動判定してくれないので、計算が面倒に思う人には向かないだろう。拙者は学生時代にゲームブックやテーブルゲームのD&Dを遊んでいたので、ダイスを使ったゲーム進行は苦にならなかった。しかし、昨今のパソコンゲームに慣れ親しんでいる人には、ちょっと抵抗あるシステムかもしれないね。ダイスの判定を自分で行うのがゲームブックの醍醐味だけど、ダイスの判定を自動処理する簡易モードがあっても良かったと思う。
©Lost Script
ダイスの目に強制力がないので、ダイスの出目とは無関係にゲームを進めてしまう人もいると思う。人によってはダイスそのものを振らないかも…。まぁ、そのインチキが出来る部分もゲームブックの醍醐味だけど、なんとなくデバッグモードの付いたAVGをやってる感覚になってしまう危険が…。忠実にゲームブックを再現したことが、パソコンゲームとして面白くなったかどうかは判断が分かれるところだろう。あと、ゲームブックの静寂性を意識してのことなのか、音声が採用されていないのはちょっと残念。音声を採用することでキャラのイメージを壊しちゃうことを避けたのかもしれないけど、機能で音声をOFFにすれば済むことなので、音声は是非とも採用して欲しい。音声がないHシーンは、いまひとつ盛り上がりに欠けるからね。
システム面さえ受け入れることが出来れば、このゲームは非常に楽しめると思う。シナリオは緻密で完成度も高いし、クールな世界観・雰囲気も格好良くてグッド! ゲームブックスタイルということで、テキストが膨大でボリューム感もバッチリ。Hシーンをテンポ良く楽しみたい人には、ややツライ構成かもしれないけどね。でも、くれぐれもテキストを読み飛ばしながらのプレイは避けて欲しい。なぜなら、「謎解き」部分はダイスの出目ではなく、プレイヤーの読解力勝負だからだ。迷宮部分ではヒントの数字を用紙にメモし、逆さにしたり反転し「236」とい脱出ルートのキーワードを導き出さなければならない。しかも、その会話部分で得た「616」の数値がコントロールパネルの暗唱番号だったりする。Hシーンを早く見たい一心でテキストを速読気味にプレイすると、行き詰まる可能性もあるので要注意だ。
テキストさえキッチリ読んでいれば、謎解きは難しいというより楽しいし、物語に感情移入できてゲームを一層楽しめると思う。ゲームのオススメ度は、システムの特殊性を加味し標準的な☆3にしたけど、システムを受け入れられる人なら☆4個以上のオススメゲームだと思うよ。じっくりゲームを楽しみたい人に是非!
(by イ・ヤン提督)