鏖殺ノ乙女.

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人類復興の学園都市を舞台に繰り広げられる漆黒の復讐劇

人類の前に突如して出現した“天人”。神にも等しい力を持つこの異形の存在は破壊の限りを尽くし、人類は絶望の淵に追いやられる。だが、聖なる力を秘めた宝石・マジカルハートが発見され、宝石の力を身に宿した“宝石姫”の活躍により天人は討ち滅ぼされ人類は滅亡から救われるのだった。やがて、人類復興の象徴として“宝石姫”を育成する学園都市・星華ルネサンスポリス復光が完成。世界中から選りすぐられた乙女たちが集う園となる。そんな学園に転校生として現れた黒き令嬢・禊ヶ原トワ。彼女こそマジカルハートの真の発見者の娘であり、マジカルハート適合の実験体とされた亡き妹からその力を受け継いだ最後の宝石姫だった。トワは自分たちからすべてを奪った裏切り者の後継者、暁宮エリスを倒すため、漆黒の復讐劇に身を投じていくが…!?

『魔法少女消耗戦線』シリーズで強烈なデビューを飾ったmetalogiqから、待望の新作が登場。今回は崩壊した未来世界で人類復興の要たる学園都市を舞台に、黒き宝石姫・トワの復讐劇を描いたダークファンタジーな物語となっている。母と妹を奪った学園理事長の娘、星徒会長のエリスへの復讐を誓い、学園に転入するトワ。だが、入学早々に亡き妹と瓜二つの後輩・ディーと出会ったことで、トワの心は大きく揺り動かされる。目的のために行動しながらも、自分を慕うディーに心惹かれていくトワ。果たして彼女は復讐を遂げることができるのか、そのあたりが見どころとなっている。このダークシリアスな復讐劇と儚く尊い百合展開の掛け合わせというのはとても相性が良く、惹かれる人も多いことだろう。

ただ、トワの復讐劇だけで終わらないのが本作の大きなポイント。シナリオは章ごとに構成されており、1つ目の章がトワの復讐劇、2つ目の章ではトワ以外のヒロインにスポットを当てた物語が描かれる。そして3つ目以降の章では本作の真実が語られていくことに。天人や宝石姫の正体、人類の行方、世界の真実…と、衝撃の事実が明らかになっていくため、作品の印象も大きく変わっていくことだろう。エロ方面でも、百合展開中心なことから『魔法少女消耗戦線』と比べると大人しめだったものが、章を進む度にハードさを増していくのもポイント。美しき宝石姫の乙女たちが大変に目に遭ってしまうので、ハードエロ描写を期待する人にもオススメだ。とはいえ、前作に比べればハード描写は控えめなので、残酷描写が苦手な人にも安心して勧められる内容となっている。特に百合展開好きな人には注目してほしい作品といえるだろう。